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イルカの町のイルカさん  作者: へもん
鏡花さんの困ったなぁ
6/6

クッションが悲鳴をあげている

イルカさんへ

今日はありがとうございました。

簡単ですが、明日の予定を送ります。


明日は昼から大学なので、それまではお家にいます。


12時00分~お家出発


12時35分~大学


17時30分~大学を出発


18時00分頃帰宅予定です。


こんな感じでよかったですか?

とりあえずこれが明日の予定です。

また明日もよろしくお願いします!


鏡花



明日の予定を布団の中でイルカさんへ送った。

「ふぅ、こんなで良いかな?大分ざっくりしちゃったけど、どんな感じで張り付くんだろう?」


今日、私は2ヵ月程前から悩んでいるストーカー被害について友人から紹介されたイルカさんの元へいった。


ことの始まりは、ストーカー被害に遭っていることを友人の須藤叶に相談したことから始まった。



――――――



大学の講義後、私がラウンジに座って溜め息を吐いていると叶が近付いてきた。


『鏡花どうしたの?そんな暗い顔して』


『叶……実はさ、こないだから後ろを誰かにつけられてるんだよね』


『うそっもしかしてストーカー?』

『うん、多分』

『警察には?』

『行ったよ?でもね被害がないことには動けないって……巡回は増やしてくれてるみたいだけど』


『ひっどーい!!じゃあ相談してからも続いてるの?』

『うん、なんなら前よりも気配が近付いてきたような気がして……』

私の言葉を聞いて悩んだ素振りを見せる叶はひとしきり悩んだ後独り言を呟く。

『うーんしょうがないよね、鏡花が危ないんだもんイレギュラーだよイレギュラー』




『じゃあ鏡花!本当は教えちゃあんまりダメって言われてるんだけど、良いところ教えてあげる』


『えっどういうこと?』

『えっとね!お姉ちゃんの知り合いなんだけど面倒事請負人っていう何でも屋さんみたいな仕事やってる人がいてね!』


―――――――





最初、私がこの面倒事請負人を聞いたときすごく胡散臭いと思った。

聞いたことないお仕事だし、しかもイルカって名前……もちろん私の住んでいるこの町の地名でもあるからそこまで変ではないけどどうしても胡散臭かった。



――――――



私は、叶から話を聞いてからすぐに相談しにイルカさんの事務所へ向かった。


到着したのは町の商店街から徒歩5分程度の場所、お世辞にも綺麗とは言いがたい見た目のビル。

階段を上がっていくと一つのドアがあった、そのドアの磨りガラスにはイルカの事務所と書いてあり、もしイルカさんの名前を聞いていなければ見つけられなかったかも知れない。


ノックをしてドアから入る立て付けが悪いのか、開けたドアからは甲高い音が事務所内に響く。


一瞬、人がいないのかと思いすいませんと声をかけた。

すると奥からイルカさんの声がした。


あの時、イルカさんタバコ吸ってたのかな?

だとしたら悪いことしたな。


それからはこんこんとストーカーの話をした。

時節、イルカさんは私を気遣うように笑みを浮かべてくれたり紅茶を入れてくれたりした。



――――――



"安心してください、もうあなたに危害が加わる事がないよう私が全力をつくします。だからゆっくりで大丈夫です。話してください〟


この言葉すごく安心できたな、なんでだろイルカさん妹がいるって言ってたもんね、だから慣れてるのかな。


「お兄ちゃんがいたらあんな感じなのかな」


私は自分の独り言に恥ずかしくなりクッションを強く抱き締めた。



――――――


その後、イルカさんが私のバイト先に来ることになった。

イルカさんは商店街の人にすごく親しまれていた。八百屋の人に小学生、歩く度に色んな人に話しかけられていた。


ファミレスに到着しイルカさんに待ってもらっているときに事件は起きた。


店長が慌ててキッチンに入ってきて、田沼君が君の叔父さんに大声をあげたと。

その一報を聞いたときすごく焦った、もしかして叔父さんじゃないってバレた?いやいやそんなことは……なんてことを考えながら小走りで二人の元へ向かい誤解を解いた。


――――――




「うーんあの時のイルカさんの顔面白かったな~何て言うんだろ俺困ってますって言うのを全面に出した顔」


私の中のイルカさん像は少しだらしなくて面白くてでも皆に愛されてて優しいそんな形に落ち着いた。


「それにしても今日一日で色んなことがあったなーでも今日は視線も感じなかったし無言電話もなかった何でだろ?」


いつもだったらバイト終わりに絶対掛かってくるのにと思っていると段々うとうとしてきた。


(あれ、そう言えばストーカーが近付いてきた時の匂いどこかで嗅いだことあるような……)




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