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イルカの町のイルカさん  作者: へもん
鏡花さんの困ったなぁ
3/6

お前がストーカーかっ!!

「イルカのオッチャン!かくれんぼするんだけど来る?」


「おっ春!誘ってくれてサンキュー!でも今は仕事中だからまた今度な」

イルカに向かってランドセルを背負った小学生が話しかけてくる。


「イルカちゃん!今日は菫ちゃんは一緒じゃないのかい?」

「いや今日は仕事なんだよ加奈子さん。急いでっからまた来るは!」

イルカは八百屋に手を振りながら鏡花とバイト先に向かって商店街を歩く。


「ふふっ人気なんですね」

「いや……人気といいますか……あー」


イルカが言いよどんでいると鏡花が微笑みながら言葉を続ける。

「後、話し方普通で構いませんよ?」

「話し方ですか?」

「はい、今の八百屋さんの方や可愛らしい子に接するような話し方で」


(話し方か……敬語が苦手なわけではないけど)

「じゃあお言葉に甘えて」

「ええ、実は気になっていたんです。先程の会話の中で少し話しずらそうだと思ったので」



二人でたあいもない話をしていると鏡花のポケットからポコンっと音が鳴った。

「すいません。スマホ見ても良いですか?」

「どうぞどうぞ」


歩きスマホは褒められたものじゃないので、イルカと鏡花は歩道の端により止まる。

(メッセージでも来たのか。てかフリック入力早いな)


イルカがそんなことを考えている間も鏡花はシュシュと指を動かして返事を返している。


「終わりました。行きましょうか」

「おう、答えたくなかったらいいんだが誰だったんだ?」

「バイト先の人です。私がいつもよりくるのが遅いので心配してくれたみたいです」 


(ん?心配?)


「心配ってことはストーカーの事を……?」

「あっはい、バイト先と大学の親しい人には話してあります。ダメ……でしょうか?」

「だめではないな別に、だが知り合いの中にいる可能性もあるから気を付けてくれ」


鏡花はストーカーの事を思い出したかのようにはっとした。


「そうですよね…」

「まっこれで絞れそうだからそれはそれでいいんだけどな!」

(何で不安にさせるような事を言ってるんだ俺は!)

一気に暗くなった雰囲気を払拭させるように鏡花に尋ねる。


「そう言えば後どんぐらい着くんだ?」

「10分位です!バイト先まで来てもらって悪いので珈琲飲んでいって下さい!奢ります!」

鏡花も察したのか。無理矢理テンションを上げて話してくれる。


「いや俺が出すからバイト終わりそのファミレスで晩飯でも食べよう。そこで話したいこともあるから」

「えっ悪いですよ!」

「いいんだいいんだ、学生は奢られとけ」

「あっありがとうございます!」

「それと俺の事なんだが親戚のおじさん設定で行こう」

「やっぱりバレない方が良いんですね」

「そうだなーやっぱりこういう捜査系や潜入系の依頼は基本的には依頼主以外には俺の正体がバレないようにするのが鉄則だな例外はあるが」


「例外ですか?」

「ああ、絶対に信用ができると裏がとれた場合協力者として話す場合がある、例えば今回だと自分の親兄弟にとかな」


そう大体こういうストーカー行為に関しては警察みたいに何人かの規模で動けるなら問題はないのだが、イルカみたいな個人事務所の場合人手が足らないなのでその依頼主の親類縁者、またはイルカのほうで別途協力者を用意する。


「親ですか……出来れば心配をかけたくなくて」

「ああ、大丈夫今回は俺が鏡花さんに張り付くよ、他の抱えてる依頼も今は何にもないしな」


イルカが言った事は半分本当で半分嘘だった。

今回協力者を雇わない理由は緊急性が高いと判断したためだ。

ストーカー行為から2ヶ月また初期の段階で接触、そして無言電話と言うことは番号を知っている誰かまたは鏡花の隙を見て番号を盗める身近な存在と言うことだ。

(正直な所、協力者を俺の方から出して怪我をさせるのは忍びない。)


イルカの言葉を聞いた鏡花は意地の悪い顔をして質問をする。


「イルカさんは暇なんですね!」


「そうだな、春にかくれんぼ誘われるくらいは暇だな」

イルカも笑いながらそれに答える。






そうこうしているうちに鏡花のバイト先に着く。


「じゃあ行ってきますね!」

「あっとその前に上がり時間は何時だ?」

「21時です!」

(今が17時前だから大体4時間ほどか……)


「わかった。じゃあ頑張ってこい!」

「はい!行ってきます。」



それからイルカはファミレスに入り席に座った。

鏡花のバイト姿を見ながら珈琲を飲み時間を潰した。


大体3時間ほどたった頃だろうか1人の男性店員が近づいてきた。


(なんだコイツ何か怒ってるぞ……さすがに長居しすぎたか。)


「お客様、当店の従業員をずっと見てましたよね」

(鏡花の事か)


「あーいやそれはだな」

(なんて言ったもんか、別に叔父と言って事を納めるのは簡単なんだが)


イルカが少し考え込んでいると段々男性店員の顔がみるみる内に真っ赤になっていく。


「もしかしてお前……」

(ん?何か盛大な勘違いをされているような気が……)


「お前がストーカーかっ!」


男性店員の声が店内に響き渡る。




(えーなんでそうなるの?)

イルカは天を仰いだ。




頑張る

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