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第十六話【魔法の訓練】

「やっぱりアリアの歌声は綺麗だな……。お疲れさん。さぁ、最後はトリのアビスといきたいところだが……ちょっと事情があってこいつは今、スキルを使うことができない」

 

 そんなアニマの言葉に、生徒たちだけでなくアビスも不思議そうな表情を浮かべる。

 

「どういうことだ?」とフェイト。


「それは大人の事情で言えないな」


「なんだよ大人の事情って」


「俺の言葉は絶対だ。アビス本人も知らないだろうけど、こいつはいろいろと事情があってスキルを使えないんだ」


「えぇー……。それって弱いってこと?」


「勘違いするな。正直アビスはここの誰よりもすごい能力を秘めている」


「えっ!?」と驚きを隠せないアビス。


「いや、一年生だけでなく、スキルの能力値という点においては、四年生全員をも凌駕している。それは理解しておけ」


「マジかよ、すっげぇぇぇ」


「四年生よりも強いんだ……。すごい」

 

 フェイトと茶髪のノエルが思わずと言った様子で声を上げる。

 一切喋らないものの、白髪ロングヘアーのアリアも目を開いて驚いている。

 

「個人的にはもう伝えたんだが、自分をすごいと思って努力を怠ったりはするなよ? スキルを使えないことや現状の身体能力から考えて、強さの総合値でいえばお前は確実に最下位だ」


「うん」とアビス。


「だからアビスは体育の時間にスキルを特訓するのではなく、体力トレーニングや武術の訓練、魔法の練習をしてもらおうと思っている。魔法理論の勉強や特訓は魔法の授業中に行うんだが、アビスだけは体育の時間も魔法に注いでもらう。最初のほうは俺がいろいろと教えてやるから安心しろ」


「わかりました」


「さぁ、というわけだから、アビス以外はスキルの訓練を始めてくれ! 魔法の訓練と交互に見るから、わからないことがあったら聞きにきてくれ」


「「「はい」」」


 生徒が元気よく返事をするなか、

 

「あの!」


 賢者のノエルが手を挙げた。


「なんだ?」


「あたしも魔法の訓練に参加していいですか? 賢者のスキルを持っていても使用できる体力には限界があるので、魔力をもっと上手く使って魔法が効率よく使えるようになりたいんです」


「あー、なるほどな……。けど、お前のスキルもまだまだ磨けるところはたくさんあるぞ? 一番は体力から魔力を生み出す効率が悪すぎることだろうな。あとでコツを教えに行ってやるから、まずは一人でその回路と仲良くなれるように努力してみろ」


「……わかりました」


 その言葉を機に、アビス以外のみんなはそれぞれ空いているスペースへと広がっていく。

 

「そういえばアビスって、もう魔法を使えたりするのか?」


 アニマが問いかけた。

 

「ううん。全く」


「まあ、普通の八歳ならそれが当然か……。じゃあまずは体内の魔力を感じるところから始めるぞ。幸いお前にはノエルと同じかそれ以上の魔力量を保有している。よほど両親のDNAが優れていたらしい」


「へぇ……。俺のお父さんとお母さんって、どんな人だったんだろう。魔法使いとかかな?」


「…………さぁな」


 その後、アビスはチャイムがなるまで魔法の特訓に取り組んだ。

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