夏休み明けのクラスのバカ三人衆がおかしいんだけど!?
今日は夏休み明け一日目。クラスの奴らと会うのが楽しみだ!
特に楽しみなのはクラスのバカ三人衆の佐藤と武田と斎藤。
あいつらは夏休み前に「新しい男になる」「彼女百人作るわ」「ムキムキなマッスルボディを作る!」(順に佐藤、武田、斎藤)と宣言して去っていった。
まぁ成功していないと思うが、とりあえず楽しみだ。
クラスに着く。周りには委員長しかいない。あのバカ三人衆はまだ来ていないようだ。
そこで待っていると、アホみたいにでかい足音が聞こえてくる。これは佐藤だな。
足跡はどんどん近づいてきて、前の扉をガラッと開ける。すると、そこには――
光沢のあり、銀色の肌。尖った背びれ。目は黒々として大きく、さらに生気がなく光がない。
そう、マグロと化した佐藤の姿がそこにはあった!!!
え???マグロ???
「よう、田中!どうよ、俺は宣言通り新しい男になったぜ!」
俺が唖然としていると、佐藤(?)がそう言ってくる。
「新しい男じゃねぇよ!新し過ぎて種族すら変わってんじゃねぇか!?委員長、佐藤おかしいよな!?」
俺がそう委員長に言うと、
「何を言っているんだ田中君。佐藤君は宣言通り新しい男になったじゃないか!おかしいことなんてないよ!」
え?俺がおかしいの?真面目な委員長の返しに俺はとっっってもビックリしている。
そうこうやっていると、外が騒がしい。佐藤の異常に気付いた人でもいるのだろうか。
再びガラッと開けられる扉。そこには、
「HEY!佐藤に武田、さらに委員長!俺も宣言通り百人彼女作ってきたぜ!」
「お前もかーーー!」
武田(?)は周りに大量の女子を引き連れ、教室に現れた。
いや、おかしいおかしい。背が伸びるとかそう言う次元じゃなくて骨格から変わってんじゃん。なんかガングロになってるし、髪金髪だし。歌舞伎町にいるホストかよお前。
そう脳内でツッコミをしていると、また扉が開く。
まて、今までのパターンから行くと――
「よぉ、佐藤に武田。宣言通りお前ら変わってんじゃん?」
そこに現れたのは、普通の斎藤だった。
俺はほっと胸を撫で下ろす。
「よかった〜。斎藤、お前は変わってないんだな。いやはや、お前までおかしくなってたら俺おかしくなるとかだったよ」
そう斎藤に絡みに行くと、
「ははっ、田中。お前、俺が何も変わってないと思ってるだろ?見せてやるよ、俺の筋肉を!!!」
ん?
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
そう叫んだ斎藤の筋肉が異常に膨張していく。まるで一子相伝の暗殺拳伝承者のように勢いよく制服を破った奴の筋肉は止まることを知らない。
いや、制服だぞ。良いのかよお前。
そうツッコミを入れていると、筋肉の膨張は終わったようだ。
「俺、実はこの夏の間によくわからんオッサンに拳法教えてもらったんだぜ!これもその賜物!」
「本当に拳法習ってんのかよ!何に使うんだそれ!」
流石にツッコミすぎて息がもたない。しかし、冷静に見てみると――
目の前には、マグロ、ホスト、暗殺拳の伝承者。
夢でも見てる気分だ。
あまりのことに俺が半分放心していると、バカ三人衆――いや、人外三人衆が急に無表情になって近づいてくる。
「どうした、お前ら!急にジリジリ近づいてきて!ちょっ、怖い怖い怖い!ましで!」
そして、触れそうになった瞬間――
俺は、ベッドの上にいた。
どうやら夢だったようだ。冷静に考えたらありえないしな。
いや〜、良かった良かった。