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71 全ての真相1

久々で申し訳ないです。

忙しくて長いこと書けていませんでした。

少しでも楽しんでいってくださいね!


 不幸とはなんだろう。


 熊のお守りを押し付けられることだろうか?

 それとも、おめでたハッピー騒ぎの中で一人取り残されることであろうか?

 しかし、こんなことを不幸だ! とか、誰一人として共感しないことだろう。

 だいたい、私がもしこの状況を口伝てに伝えられたとしても、「え、別に不幸じゃないでしょ。なんか楽しそうだね!」なんて惚けた顔で笑いながら聞き流すと思う。


 だが、実際に体験すればこの不幸の意味が鮮明に理解できることだろう。


「ルイス……どこよ!?」


 小さくした熊を持ち上げ、王都への入り口をどんちゃん騒ぎで塞いでいたあのバカ集団を突破した私はルイスを探していた。


 二度と……二度とごめんだわ。

 熊はやたらと重いし、肩に担いでいで移動しようとしたら頭に乗っかって来ようとして本当に煩わしかった。

 そんなイライラしているところにあの馬鹿騒ぎ。

 一瞬、周囲一帯吹き飛ばして静寂をもたらそうとしたくらいだ。

 

 とまあ、こんな下らないことは置いておいて、現在私はルイスを探している。

 最後に見たルイスの足取りからして、王都には来たことがなさそうだった。

 そうなると、シーオフェリアの後ろを付けて、自然と案内させようとかあの男は考えているはず。


「リア姉が行きそうな場所……」


 一言呟いた後、私の頭には一つのワードが浮かんだ。

 『協力者』

 王国にいる協力者。

 シーオフェリアが王都に着いたのなら、その人と合流して顔を合わせる可能性が高い。

 そして、待ち合わせと言えば王城前の像があるとこか噴水広場が思い浮かぶ。で、私がシーオフェリアに何気なく話した待ち合わせ場所で有名なところといえば噴水広場。


「読めた!」


 急ぐため、熊を地面に下ろし、そして熊の魔法を解く。

 凶暴そうな巨大熊に戻ったが、まあ、楽に速く移動したいのだから仕方がない。


「いい? 私を乗せて私が指示した方向に進むのよ。分かるわね?」

「ガウッ!」

「よし、なら早速出発よ。通行人とかがいたら避けて走りなさいよ」


 一言そう忠告すると再び熊は理解したと言わんばかりに唸った。

 熊のお守りがなんだとほざいていた私であるが、こんな時にいい足となるこの熊を引き取っておいて良かったと感じている。

 そして、背に乗って熊を走らせた。


「クルルルルルッ…………」

「右よ……次も右、その次の角を左……あそこの穴は抜け道だから潜って……次は……」


 熊に乗る女。

 当然こんなことをしていれば少なからず人目につく。

 腰を抜かした住民が凄まじい速さで横をすり抜けていく。否、熊が速いのだ。

 風で周囲の音は全て掻き消され、景色は目まぐるしく変化していく。通りを一つ二つ抜け、目的地が近付いてくる。


「もうすぐね……」


 噴水広場付近には人があまりいなかったが、それでも噴水広場にルイスたちがいると不思議と確信していた。

 まあ別に特別な能力とかを使っている訳ではないけど、長年の人生経験からくるものだ。


 そして、目当ての場所には私の読み通り、ルイスとミーナちゃん、シーオフェリアがちゃんと居たのだった。それから、シーオフェリアの言っていた『協力者』……妹女神のレイヤがその場に存在していた。


 えっ!?


「なんでレイヤが……」


 しかし私の驚き様に苦笑いしながらレイヤはこちらに歩み寄ってきた。


「お久しぶりです、サシャお姉様。二十年ぶりくらいでしょうか?」


 その冷静な様から想像するにシーオフェリアから事前に今回のことを聞いていたのだろう。まあ、協力者なのだから私が来ることくらい聞いていて当然か……それにしても、私に一言も言っていないシーオフェリアは本当にいい性格してるわ。


「ええ、久しぶりねレイヤ。……それで、リア姉、これはどういうことかしら?」


 キッと彼女を睨みつけるが効果は薄い。

 いつも通りの楽しそうな表情で笑いを堪えているような感じである。


「ごめんごめん、でも教えてたらサーちゃんは嫌がったでしょ? レイヤちゃんを巻き込んだりとか昔っから嫌いだったし」

「それはリア姉の持ってくる問題が常軌を逸していたからよ……」

「またまたぁ〜」


 自覚なしなのが、たち悪いわね。


「とにかく、説明してちょうだい」


 表情から読み取るに、ルイスとミーナちゃんは既にどういうことか説明を受けた感じか……

 シーオフェリアは視線を私、それからレイヤに移して話始めた。


「まず、レイヤちゃんがなんでここに居るのかって話だけど……」

「リア姉の言っていた協力者が彼女なのでしょう」

「そゆこと。で、王国で色々と物騒なことが起こっていたから国中を監視して貰って、逐一報告をして貰っていたの」


 つまり、シーオフェリアがこの王国の情報を把握していたのはレイヤのお陰ってことになるわね。


「理解したわ」

「うん、それからレイヤちゃんには情報の他に催眠の解呪とかもお願いしてて……」

「ちょっと待って!」


 えっ、何……催眠?

 話が全然読めてこないわ。


「催眠って何のこと?」


 シーオフェリアは一呼吸置いてから目を細めた。


「……簡単に言うとね。サーちゃんが王国を出る理由を作ったのがあいつ(・・・)なのよ。サーちゃんは確か仲の良かったご令嬢が居たわよね。確かライナさん……だったかしら」

「……ええ、そうね。ライナさんも私が王国を出た理由に一枚噛んでいるわ」


 でも、シーオフェリアがこんなことを言うってことはつまり……


「……つまりリア姉は、ライナさんがバルギアに操られていたと……そう言いたいの?」

「ええ、元々この騒動は全てバルギアがけしかけたものだったのよ。……まあ、このことはつい数日前くらいに分かったんだけどね」


 その言葉に私は動揺を隠しきれなかった。

 つまり、バルギアが関わっていなければ、平和な王国のままであったということ。

 そんな仮定の話をしても意味がないと分かっているのだが、しかしその考えが頭に過ぎる。


 そう考えると、私の倒すべき敵はバルギア一人。

 ええ、そうね。全てバルギアが掻き乱したいことと言うならば、私もそれ相応のことをしなければいけないわね。


「……リア姉」

「何?」

「ライナさんに今から会えるかしら?」


 シーオフェリアの表情は変わらずにこやかなものであった。


 

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