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67 作戦会議2

更新が遅れて申し訳ありません。

色々立て込んでいて、時間があまり取れませんでした。

「……さて、話が脱線しちゃったけど、気を取直して……作戦会議、行きましょー!!」

「……はぁ」


 ……突然だけど、姉とはなんなのか?

 嬉々として手を振るシーオフェリアに私は乾いた呆れ声を漏らした。

 一緒に居てこんなに疲れる存在が姉なのならば、私は姉の必要性を疑ってしまいそうになる。扱いに困る。このテンションがぶっ飛んでいる姉を私は今後制御出来る自信がない、というか物心ついたころからそんなこと無理だと割り切っていたが……ミーナちゃんがこの場所に居るにも関わらず、そういう変な方向へと話を流すような彼女に改めて面倒な存在だと感じる。


「もー、ごめんって。あの後誤解は解いたじゃないの」

「リア姉、終わり良ければという考えは古いわよ。引っ掻き回される身にもなってよ……」


 本気でそう感じているので、真顔で返答するとシーオフェリアは目線を逸らした。


「……よし、明日からちゃんとしよう」


 何をちゃんとするのか……明言しなかった辺りがもう救いようがない。あの性格が直ぐに治るとも思ってないからいいのだけど。

 周りからはなんだか同情の視線と雰囲気がこちらに一斉放射されているし、もう既に緊張感の欠片すらない。

 ルイスも諦めたような目で肩に手を当ててきて、 

「サシャ……まあ、どんまい」

 と一言だけ告げてから「うんうん」と何度も頷く。

 一体彼は何に納得したのだろう。


 無我の境地なの?

 いや、この場合は善良な魔神の悟りか?

 あ〜あ、私としたことが、自ら思考を脱線させ始めたし。これじゃあ時間の無駄でしかない。

 しかし、結果的にこんなやり取りに場は和み、実はそれこそがシーオフェリアの本当の狙いだったのかもしれない。


 それでも、どんなにユーモアを効かせて場の雰囲気を和らげようとも、それは所詮気休めに過ぎない。

 

 そして、こんな茶番劇に終止符を打ったのは、私ではなくハロルダ王子だった。


「んんっ、どうでもいいが、話を進めてくれないか?」


 国の命運を話し合うこの場で、馴れ合いなどの無用な会話は要らないと言わんばかりにハロルダ王子の口調はとても静かなものだった。


「ごめんねぇ、でも雰囲気って大切じゃない?」

「すまない、こっちも本気なんだ。国が危ないんだ」

「あら、私も本気のつもりよ? 真面目にちゃんと考えてる。でも、堅苦しいだけで案の出しにくい会議だなんて鎖にしかならないと思うわよ?」

「そうだとしても、国が大変な時にヘラヘラしているのは我慢出来ない」


 ……シーオフェリアの言うことは的を射たことだった。しかし、ハロルダ王子の言いたいことも分からないこともない。


「……王国の未来が懸かっているんだ。真面目にやってくれ」

「ふーん、まあ、そうだけどさ……」


 シーオフェリアのテンションがゼロになった。

 さながらお通夜みたいになっちゃったけど……ん?

 周りからの視線が……。え、何? これを私にどうしろと?


「まあ、二人とも落ち着いて」

「「……」」

「内輪揉めしても仕方がないと思わない?」

「「……」」

「は、話し合いを……進め……」

「「……」」


 こんなハロルダ王子とシーオフェリアの険悪な雰囲気をどうしろと? 

 無理だから。これ以上は無理だから!


「「「……」」」


 終始黙り込んだ一同。何これって私は思ったが、空気が重いためそんなことを口から出したりはしなかった。どうしようかと私はちょっと思案していた。するとシーオフェリアが再び口を開いた。


「ふぅ、じゃ、気を取り直して話を再開しましょうか」


 流石は女神。流石は長女。流石はムードクラッシャー。

 彼女は自ら話を切り出して、ちゃんと会議を進めていった。声が低かったのは気にしないでおこう。


 そんなシーオフェリアの対応に対して、ハロルダ王子も特に何かを言うわけでもなく、その場にいたあらゆる者は、険悪な空気がちょっぴり打開されてホッとし、それからこの二人は何かと面倒臭いと口に出さずとも全会一致でそう考えた──。









〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「……じゃあ、そんな感じに手筈通り動いてね! はい、解散。各自決戦に備えて下さーい」


 気がつけば、話は上手く運ばれており、案が綺麗に纏まった。

 会議が何事も無く……とはいかないものの、少なくとも何か大きな問題が起きなくて良かったと心から感じた。

 大きな問題、主にハロルダ王子とシーオフェリアのことだが、こう考えているのは私だけじゃないだろう。

 証拠に終わった途端にそそくさと退散する者が多いし……。


「あ、サーちゃん。ちょっと打ち合わせとかしたいから残ってね」


 私も早々に立ち去ってミーナちゃんの可愛さに癒されようと立ち上がったが、シーオフェリアの一声によって止められた。

 ルイスも彼女の視線によって残らざるを得ない感じになり、そのまま私、ルイス、シーオフェリアがその場にのこることとなった。


 気を利かせた騎士の一人がハロルダ王子を連れていってくれたことが幸いではあるが……何の話をされるのやらと、気が気でなかった私。


 そして、シーオフェリアの開かれた口からは案の定、

「何、あの王子。真面目にやれって言ってくる癖に話し掛けてもあやふやなことばかり言って」

 ハロルダ王子の愚痴だった。

 

 まあね、なんとなく分かってたけど……。


「……それ、本人に直接言えば?」

「嫌よ、ああいうプライドの高いタイプは自分を卑下にされると面倒なの!」

「はぁ……」


 そのプライドの高い王子と真っ向から火花散らしていたのはいったい誰なのよ……とは言えず。勿論、火花散らしたのは、女神シーオフェリアさんだけど……。

 口籠もると視線を私からルイスへと移した。

 ルイスも苦笑いながらも口を開いた。


「まあ、シーオフェリアさん。王国をちゃんと救ったらそれで終わりますから、我慢ですね」

「そうね、ルイスくん。……いいこと言うわね」


 シーオフェリアはルイスに向けて微笑を見せ、愚痴を言って、気が済んだのか晴れ晴れした表情に変わった。


「さて、明日は朝から突撃よ! サーちゃん達も今日はゆっくり休んでね。後、お姉ちゃんの愚痴を聞いてくれてありがとう」


 そう言うと、色々と準備があるのだろう。シーオフェリアは足早にその場を去っていった。

 残された私とルイスは少しの間シーオフェリアが去るのを見送っていたが、やがて顔を見合わせた。


「なんか、改めて凄い人だな」

「そうなのよね。リア姉もリア姉でプライド高いから」

「ああ、見てればなんとなく」


 ルイスは会議で疲れたのか少し伸びをした。


「疲れた?」

「うん、ちょー疲れた。身体的じゃなくて精神的にな。今日のあれを味わったら、なんだか明日が大丈夫に思えてきたよ」


 軽口を叩きながら、ルイスは戻ろうと私の手を引いた。

 ルイスに連れられるまま、私はミーナちゃんのいるテントへと足を進めた。


 久しぶりの馬車以外の寝床。

 会議が終わってもまだまだ寝るには早い時間帯だったが、心が疲れていた私とルイスは満場一致でもう寝ようと、そう言い合った。


 ただ一人、元気なミーナちゃんが遊びたいと言ったため、結局辺りが暗くなるまで起きていた。それでも、いつもよりほんの少しだけ早く眠ることが出来た。


 

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