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57 王国までの道中4

遅れてすいません。忙しくて更新ペースが落ちてしまいました。

長めが良いかなって思ったので、少し長めに書きました。

 現在の状況を確認する。

 馬車五両、内三両が走行不能。騎士達は最初は四十三人居たらしい。しかし、重傷者や亡くなった者、つまり王国まで行けない者達は総勢十九人、凡そ半数が駄目になった。


 つまり、共和国を出発するまでは意気揚々とドヤ顔で王国に向けて進んでいた。でも、ここから先でまたあんなのと出くわしたりしたら……かなり危険だ。そういうこと。


 まあ、王子は奇跡的に無事らしい。ルイスやミーナちゃんも無事であったから、私の心に響いたダメージはそこまで大きくない。あ、王子はどうなったとしても構わないけどね。


 今はシーオフェリアを中心に戦闘面に自信がある面子で話し合いが行われていた。


「じゃあ、こんな感じで良いかしら?」


 シーオフェリアの問い掛けにコクリと頷く面々、勿論私もそれに含まれている。話の内容は今後、王国へ向かうに当たって、どのように行くのか? という内容である。


「オフェリアさんの案に賛成の者が多数と見た」

「これで決定ですかね?」

 

 その言葉に肯定的な視線を向ける。皆が皆それで良いと訴えているかのように。


 オフェリアの案はこういうことだ。


 怪我人は、共和国に引き返す。残った動ける者達は、ハロルダ王子を最優先で護衛。私やシーオフェリア、ルイス、みーちゃんにつける護衛は無くしてよい。但し、その分周囲の警戒、索敵をする人員を増やし、辺りのセーフゾーンの確保を優先。


 一先ずの目的地は、森にあるという中間拠点。

 そこに着くまでは決して止まらないように動き続ける。


 その他にも色々細かいことを提案していたシーオフェリアだが、ざっくりとこんな感じの内容だ。




 そして、シーオフェリアの案に確定した。


「よし! じゃあ、君は点呼をとって。そっちの人は物資の確認を」

「は!」

「か、確認してきます!」


 いきなり指揮官気取りで命令を出したシーオフェリアだが、様になっている。指名を受けた若い騎士の男性と軽装の偵察兵みたいな女性は、すぐさま言われた通りに動き始めた。


「さて……今後の方針をもっと固めないと……」


 小首を少し傾けたシーオフェリア。彼女は口に出さないが、色々と隠れて苦労をしているのかもしれない。

 そんなことを思っていると、シーオフェリアが水筒を持ってこちらに寄ってきた。


「はい、お水。疲れてるでしょ?」

「ええ、ありがとう。……リア姉さんは疲れていないの?」


 よく考えれば、彼女があからさまに疲れている様子はそんなに見たことがない。これは、女神として、一緒に生きてきたときからそう。


「ああ、私は疲れてないから。こう見えて長女だし、ほら、私って強いから」


 胸を誇張するように踏ん反り返る彼女は、得意げな顔付きで鼻をならしている。


「ああ、あとさ。そこのミーナちゃん? だっけ? 疲れた感じの顔してるし、馬車の中で休ませてあげたら?」


 悪戯めいた顔をしていたかと思えば、今度は真顔でそんなことを言ってきた。シーオフェリアの指差す方向にはみーちゃんがポツリと座っていた。


 物資の整理や馬車の調整などの関係で暫く外に出てもらっていたが、確かに疲れた顔をしている。


「ミーナちゃん、馬車で休んでる?」


 座っていたミーナちゃんに近付き、そっと声を掛ける。


「うん……こんなことになるなんて思わなかったから……」


 待ちぼうけを食らった。あの襲撃によって予定が丸々狂ってしまった。本来なら今日中に中継地点に到着していてもおかしくないのだったが、それも今日は無理そうだ。


「じゃあ、一緒に馬車まで行きましょう」

「うん……」



 話し合いに時間が多少掛かったからなのか、はてさて少し前の戦闘で疲れてしまったのか、皆の動きは重々しいものがある。


「あ、サーちゃん。それからちょっと、そこにいるルイス君を借りたいんだけど……良い?」


 唐突にそんなことを言い出すシーオフェリアに私は少し驚いた。シーオフェリアとルイス? まるで接点が感じられない。ルイスの方も驚いた顔しているし。


「えっと、なんで?」

「ちょっと聞きたいことがあってね……すぐに終わるから」


 チラリとルイスに視線を移す。


「いや、別にいいけど……」


 軽くキョドりながらも、渋々頷いていた。


「よし! じゃ、ルイス君借りてくからぁ〜」

「えぅ!? ちょっと!」


 服の襟を掴まれて引きずられるように連れて行かれるルイス。抵抗虚しく、そのまま彼は少し離れたところに連れていかれた。


 ルイスを連れて行く際にシーオフェリアが向けてきた視線が、何故だが「来るな」と言っているように感じられた。


 気のせいかな……?


「えっと、サシャさん?」


 シーオフェリアとルイスが向かった方向を見ながら暫く停止している私に疑問的な含みを持った声が後頭部辺りに響いた。


 振り向くと、同じ馬車に同乗していた男性と女性の騎士、二人が並んで立っていた。はて? どうしたのか?


「えっと、何か?」


 ぎこちない動作のまま、タジタジになっている騎士の二人にそう問うと、いきなり腰を屈められた。


「馬車に同乗してた騎士の者です。この度はサシャさんを危険に晒してしまって、ごめんなさい」

「……え!?」


 えっと……どう反応すれば良いのだろうか? 

 戸惑っていると、意図を察した女性の騎士が気を利かせて説明をしてくれた。


「あ、いえ……その、私達は騎士なのに結局サシャさんやオフェリアさんのお手を煩わせてしまって……面目次第もありません」

「も、申し訳ないです……」

「…………」


 そう二人揃って深々と頭を下げてくる。

 確かに、彼らはあの奇襲で外に出なかったが、あくまで命令でそうしたと言っていた。なら、彼らに落ち度はない。ルイスやミーナちゃんも無事で、私としては何も汚点が無いように思えるが……。


「あの……」


 沈黙は居心地が悪いらしい。

 

「ああ、ごめんなさい」

「い、いえ……」


 俯いたままの二人に対して、明るい声で話しかける。

 その声色が意外だったのか、二人は戸惑いがちに顔を上げた。


「その、何か勘違いしているみたいだけど……私、あなた達に落ち度とか、そういうのがあるとか思っていないわよ」

「で、ですが! サシャさんを危険な戦地で戦わせてしまいました」

「止めれば良かったのに……言い争っていたから、気が付かなくて……」


 うーん、あれはシーオフェリアが「行こう」とかって合図してきたからなのよね。つまり私の勝手な判断なのだけど……騎士としてのプライドというのがあるのだろう。二人は罪悪感に飲まれたような雰囲気。


 でも、この二人は間違っている。


「気にしないでいいのに。ちゃんとルイスとミーナちゃんを守っていてくれたのでしょ? 私は二人が大事だから、守ってくれてとっても嬉しかったのよ?」

「「え?」」


 この騎士の二人は意外そうな顔をしているが、事実その通り。私は戦っている間、ルイスとミーナちゃんの側にいることが出来なかった。それはつまり、二人を身近に守ってあげられなかったということ。


「二人は、馬車の中で頑張ってくれた。……でしょ?」

「それは……はい」

「入って来ようとした連中は撃退しました」

「なら、良いじゃない。幸い私に関わる大切な人は皆んな無事。私も怪我とかしてないし、それでいいじゃない」


 私からこの二人に伝える言葉があるとすれば、一つだけ。


「ルイスとミーナちゃんを守ってくれてありがとう。この先もお願いね」

「は、はい!」

「必ず、無事に王国まで送ります!」


 これで良い。

 トドメに二人と握手。これで二人も負い目を感じなくて済む。


 この二人が加わったところで、戦況は変わらなかっただろう。犠牲者を減らすのであれば、いっそのことシーオフェリア単体で戦わせればいい。

 だからこそ、私は感謝しているのだ。ルイスとミーナちゃんを守ってくれてありがとう、と。


 堅苦しい雰囲気から一変して、とってもほんわかした空気に早変わり。


「えっと、それじゃあ、警備に戻りますね」

「サシャさん! 俺、騎士辞めてサシャさんの護衛になります!」

「ちょっ! 何言ってんのよ!」


 不思議とその二人との距離が縮んだ気がした。


「その時は、是非お願いね」

「勿論です!」


 空気を読んで黙ってくれていたミーナちゃんの頭を優しく撫でて、私とミーナちゃんは馬車へと戻った。


 馬車の中、横になったミーナちゃんに毛布を掛けて、ひと段落ついてふと思う。


 そういえば、シーオフェリアはルイスと何の話をしているのかしら?











〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ルイスside


 勢いでオッケーしちゃったけど、何の話なんだ? 無言で歩いてるし、なんか怖いんだけど……。


 サシャのお姉さんであるオフェリアさんの後に歩幅を合わせて歩く。随分と馬車が集まっている場所から離れたところに、漸く立ち止まった。


「あの……」


 半歩だけ距離を縮めて、肩を叩こうとしたら、急に彼女が振り向いて、そして一言を俺に言い放った。


「ねぇ……ルイスくんって魔神だったりする?」


 


面白い、続きが気になるって思って頂けたら、ブクマ、評価、感想などの応援をお願いします。

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