52 始まりの始まり4
シーオフェリアとの話を終えた私は、ルイスとミーナちゃんの待つ宿へと帰還し、事情を説明……勿論、私が女神であることは伏せている。
王国に戻ることを伝えると、二人とも付いてくると言って聞かなかった。
「本当に良いの?」
「ああ、元々家族を迎えに行く予定だったからな」
そう言うのは、膝の上にミーナちゃんを乗せているルイス。彼は王国に向かった家族が心配だと言っていたから、私としても彼の同行に異論はなかった。問題はミーナちゃんの方である。
「あの……ミーナちゃんは──」
「一緒に行く!」
意気揚々と宣言するミーナちゃんだが、これから行く目的は別に遊びではない。シーオフェリアからは「かなり危険だから、同行者が居る場合はきちんとした説明をしなきゃ駄目よ?」と念を押されはいる。
何より、ミーナちゃんを危険には晒したくない。
「ねぇ……お留守じゃ、駄目?」
そう聞いても、頑なに首を横に振る。
ちゃんと危険があるとは伝えたのだが、ここまでミーナちゃんの意思が固いと置いていくのに罪悪感がかなり残るし、その後ミーナちゃんに嫌われたりしたら生きていけない。
「どうする?」
「仕方がないわ。ミーナちゃん、危ないから絶対に私から離れては駄目よ。絶対……ね?」
ミーナちゃんにそう念を押して、結局三人で王国に向かうことになった。
私は唯一、ミーナちゃんには敵わないらしい。
一週間後、王国に向かうことから私達は準備を整えることになった。
ミーナちゃんの安全の為に防具なども上質なものに取り替えて、ついでにルイスの武器も新調した。
私? 私は別に武器が無くても、魔法と純粋な身体能力で戦っていけるから買ったりしなかったわ。浮いたお金で食事も豪勢になって一石二鳥よ。
そんなこんなであっという間に時間は経ち、約束の一週間後になった。
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冒険者ギルド、約束通りに来たのに彼女は来ていなかった。元々時間とかにルーズな女神で、私と同じで自由奔放。と言っても、私はシーオフェリアほどはっちゃけたりした覚えは無いが……暫く私とルイスとミーナちゃんの三人で会話をしていると、ぱたぱたと此方に駆けてくる彼女の姿があった。
「遅い!」
咎めるようにシーオフェリアに言うが、彼女は堪えた様子もなく、私の肩をぽんぽんと叩きながらおちゃらけた感じにへらへら笑っていた。
「いやぁ、ごめん、ごめん! ちょっとだけ、準備に手間取っちゃって……ほら、お化粧とか大事でしょ?」
はぁ~~、何を言っているのか私には分からない。
これからろくでもない場所に行くのに、お化粧がどうとか言っちゃってる時点で余裕綽々過ぎる。
私でも、魔神を相手にするから結構緊張してるのに。彼女の心は世界一頑丈かもしれない。
「あのねえ……」
彼女のその緊張感の無さに物申したかったが、彼女は自由すぎる。ルイスに興味を示したようで、まじまじと彼に密着している。なんかイラッとするけど気のせいよね。
「ふーん、君がね……」
「な、なんすか……えっ、ちょっと、サシャ!?」
ああ、ルイス……凄い困ってる。
私の名前を叫んでルイスは助けろと言わんばかりの形相だが、私が助けるまでもなくルイスは解放された。興味の対象は、ミーナちゃんに向いたからだ。ちらりとミーナちゃんを見た瞬間のシーオフェリアの顔はもう、犯罪者そのものだ!
ミーナちゃんにその毒牙を向けるな!
「あれ? サーちゃん? 悪いんだけど、後ろの子……み・せ・て♪」
「?」
「……無理ね」
何故なら、目付きがいやらしいから!
ミーナちゃんは分かっていないようだけと、ミーナちゃんを真っ先に後ろに隠したのは正解だった。本能がそう言っているもの。あれは獲物を見据えた肉食獣と同じ感じがする。
「もぉ、別に手を出したりしないから」
そう言いつつも、キャハキャハと軽い感じなのでイマイチ信用ならない。
彼女の相手をしていたら、きりがない。早々に話題を変更して、彼女の意識を王国に出没している魔神とやらにすり替えることにした。
「そんなことより、王国に行く準備は出来たの?」
「またまたぁ、私を誰だと思ってるの? 抜かりないわ!」
どうやら大丈夫そう。
ふざけた感じに言葉を発しているが、やるべきことはきちんとこなしているらしい。
と、感心していると、ルイスが此方に耳打ち……ミーナちゃんも私の服をギュッと握りしめながら訊ねてきた。
「あの、サシャ? この強烈な女性がサシャの生き別れた義理のお姉さん?」
「本当にサシャお姉ちゃんのお姉ちゃんなの?」
義理のお姉さん。
設定上そうしているが、女神という正体を隠すため不本意ながらよ。
しかし、私が二人からの質問の答えはyesのみ……激しい葛藤の中、漸くコクりと首を縦に振ることが出来た。
「ぷっ……ぅ……ぃひっ……」
その光景が面白かったのか、シーオフェリアは笑いをあからさまに堪えている仕草をする。ルイスとミーナちゃんは何がなんだかとクエスチョンマークを頭上に浮かべている。
私だけがその爆笑の意図を理解している。
要するに……私がそうやって二人に対して、シーオフェリアとどのような関係かを説明したのかを聞いて、面白かったのでしょう。
そろそろシーオフェリアを殴っちゃいそうなので、さっさと要点を聞くことにした。
「それで? どうやって王国に行くのかしら?」
「え? どうやって、って馬車に決まってるじゃん。もう外に待ってるから早速行こっか!」
それならそうと先に言いなさいよ!
そう思いつつも、ルイスとミーナちゃんを連れて、シーオフェリアの後を付いて歩くのだった。
冒険者ギルドの扉の先には無数の馬車が陳列。
そこで私は、見知った顔を目撃した。
私の元婚約者だった彼、ハロルダ王子。私は、彼と数ヶ月越しに再び出会ってしまったのだ。
すいません、モチベが下がってて、明日の更新はおやすみかもです……。大変申し訳ありません。元気になったら、ちゃんとやりますよ!
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