47 決戦! 女神として負けられないわ! 2
いつもありがとうございます!
ランキングに残れていること、とってもうれしく感じます。
今回のババ抜き……ミーナちゃんの参加は見送ることになった。
ミーナちゃんもそれで納得しているようで、私とルイスの真剣勝負を見ているとのこと。
さあ、本気の勝負をしましょうか──。
と思いつつも、ルイスに至っては、適当に終わらせようとしているのが見え見えである。
その証拠にほら、配り方が、雑!!
無気力にそうカードをポイポイと……だが、そのような無気力で、私に勝とうなど千年早い!!
幾重もの時代を見てきて、不毛な争いも終始見届けて、あらゆる問題を力でゴリ押し、解決してきたこの私……さっきは二回も負けてしまったけど、油断していない今、敗北なんて有り得ないわ!
「ルイス、この勝負……負けないわよ!」
「いや、なんかノリノリだな……いや、良いけど……」
私のその声に呆れたような表情で返事をしてくる。その声は、低めの地声って感じだったが、何故だろう……私だけ盛り上がってるの?
「サシャお姉ちゃん頑張ってー!」
違った。
ミーナちゃんも熱い声援を送ってくれている。
その事実を噛み締めていると、その満足感が外に漏れていたらしい。ルイスはまるで子供を見るような目でこっちを見てくる。
いや、私そんな目で見らられるような動作してないんだけど……何? エスパーなの?
「……何か?」
痺れが切れて、そんな風にルイスに強めの口調で問い掛けると、「いや、別に」って端的な返事を返された。
彼のその返事が終わった瞬間にカードを丁度配り終わっていた。
ペアになった数字のカードを捨てていき、最終的に、私が四枚、ルイスが五枚のカードになった。
結局は、残りの三枚になるまでは、スムーズに行くもので、ジョーカー以外を引けば必ずペアが揃う。そして、順調にカードは減っていき、遂に最後の三枚になった。
私の手元に一枚、ルイスの手元にジョーカーを含めた二枚。
「一応聞くけど、自信のほどは?」
ルイスがこの最終局面に突入した今の心境を軽々した声色で訊ねてくる。
「ふっ、負ける気がしないわね」
胸に手をやり、天井を仰ぎながら、私はそう宣言した。
ミーナちゃんもノリが良いようで、私の宣言の直ぐ後に、「おお~」という感嘆の声を出していた。
しかし、それに比べてルイスの反応は──。
「……じゃ、どちらでもどうぞ」
まさかのスルーであった。
手元にあるカードをこちらに突き出して、早く選べと言わんばかりにぐいぐいこちらに押し付けてくる。押し付けすぎて、もはや、頬に軽くめり込んでいる。
いや、故意に押し付けてくるのは、若干腹が立つ。
「ちょ、ちょっと……いくらなんでもその距離は近いわよ!」
そろそろカードに曲がり跡がついてしまいそうだと思ってか、ルイスは顔色一つ変えぬまま、押し付けるのを止めた。
私がルイスに一言ビシッと言ってやろうかと考えていると、ルイスは二枚のカードを見易い位置に構えて、したたかな感じに聞いてきた。
「で? どっち?」
「…………」
いざ、その選ぶという場面に突入してしまうと迷ってしまう。
「サシャお姉ちゃん! 頑張れー!!」
再びミーナちゃんの声援が響いてくる。
そして、私の思考タイムが開始される。ルイスの仕草、体温、目の動き、心拍数……全てを見通し……そして、私は選んだ。
これは……左だ!!
「こっちよ!」
サッ!
カードを手にとって、裏向きにこちらに引き寄せる。
カードを表にすれば、その時点でどっちをとったのかが分かるため、余計に緊張してくる。
ゆっくり、ゆっくりとカードを捲る。
カードに書かれているその絵柄を確認すると……。
joker……ハズレ……ルイスに……出し抜かれた……。
バシッ!!
思わず地面にカードを叩きつけた。
完璧にルイスの情報を全て読み解き、そして出した決断だった。なのに、こうもあっさりとハズレを引かされるなんて……。
「あー! 無理ー!!」
本音をさらりと大声で叫ぶと、ルイスは苦笑い。ミーナちゃんも若干引いた感じがする。無理じゃないの! 読めなさすぎよ! 大体それとなく揺さぶりをかければ心拍数や呼吸に変化があるものじゃないの。なのに、それが全く無いなんて……。
「ルイス! 貴方本当に人間!?」
「おい、ババ抜きと俺が人間であるかは関係無いだろ。ていうか遠回しに怪物扱いしてるの? そろそろ泣くよ?」
私の一言に安定の突っこみを決め込む辺り……ルイスは人間ね。
「ルイスお兄ちゃんは人じゃないの?」
「ミーナちゃんもそこで反応しなくていいから! ちゃんと人だから! 人外じゃ決してないから!」
ミーナちゃんからの人外ですか? 宣言を正面から喰らったルイスは……真っ白になって停止した。
勝者サシャ。
ババ抜きでは、負けたが、これはもう勝ちでも良いのでは? 終わりよければ全てよし。ルイスは完全に凹んで、これは私が勝ち誇っても文句の付けようがない。
小さくガッツポーズをとると、ルイスに見られていた。
ジト目がこちらの顔を直視してくる。そのため、罪悪感が凄い。
隠れて勝ち誇っておきたかったのに、ばれてしまってすっごい気不味い。
「え……えっと、取り敢えず終わったし、そろそろ仕事に行きましょうか!」
「待て……」
あっ、これ怒ってる?
「少しだけ話をしようか?」
「?」
ミーナちゃんは分かっていない、首を傾げてくりんとした目をルイスと私、交互に見ている。
……だが、私はよく分かる。この後に起こりうるであろうことが。
──これ、もうお説教ルートに入っちゃったわね。
予想通り、冒険者ギルドに逃げようとした私は、ルイスから懲役一時間のお説教を受けたのだった。
『今回の教訓』
ルイス、精神攻撃に弱い、特にミーナちゃんの天然発言。それから、お説教が長いから怒らせないように今後は注意しよう。
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