46 決戦! 女神として負けられないわ! 1
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王子がコレット共和国へと向かっている頃、コレット共和国の方でも問題が起こっていた。
暴動が激化したことによって、共和国の兵士がそれらの鎮圧を始めたのだ。
それが気に入らなかったのか、暴動はそれに応じるようにして、更に大きな物へと変わっていった。
いたちごっこのような状況になり、終わりの見えない騒動は、国中に広がっていく。
サシャが居る地域は、その毛色が比較的薄いところで、彼女達は、未だにこの事態の大きさに気付いていない。
そう、平和な日常を送っているのだ。
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本日も穏やかな陽気が窓越しにホワホワ感じられる中、私は彼と睨み合う。いや、これは睨み合いではないのかもしれない。
当の彼は、頬杖を、ついて「えっ? どゆこと?」みたいなコミカルな感じになっている。
私の一人相撲かと……だが、そんなことはない!!
これは私史上かなり上位に食い込む程の大きな出来事だった。
本当に……まさか、これほどまでとは……恐れ入ったわ。
生まれてこの方、勝負事では負け知らずだった(はずの)私。
このことから、その場で私が彼に負けたのは衝撃的な事実である。
視界に入ってくるのは、見慣れた宿の部屋。
愛用の椅子、木の枠組み綺麗に入っている肖像画、そこそこ大きなベッド、斜め下に視界を移せば、愛しのミーナちゃんが楽しそうに笑っている。
そして、机を隔てて私の正面に座っている男。
ルイス……貴方……まさかここまで強いだなんて……。
「一生の不覚だわ……」
漏らした言葉に対して、彼の反応は淡白なものだった。
「……いやさ、俺的に嬉しいことなんて無いんだけど……。は? なんでそんなに落ち込んでるの? 馬鹿にしてる?」
そんなことは断じてない! 等と言っている余裕すら持ち合わせてない。
「んっ…………」
机に倒れ込むようにして、踞る。机の冷たげで平たい感触が、頬を通して伝わってくる。視界はシャットアウトされたが、耳は敏感に反応して、今でも可愛らしいミーナちゃんのキャッキャッした声と、ルイスの乾いた溜め息が聴こえてくる。
「あのさ、ババ抜きで負けただけでそこまで落ち込めるのは、多分世界中にお前だけだぞ?」
そう、私は最後にルイスの手からジョーカーを引いて負けた。
二分の一……クイーンを引いた時点で勝利が確定する。そのような究極の場面で、私は思案した。
ルイスが右のカードを微かに上に上げている……これは、意図的に私にそれを取らせようとしているのでは?
しかし、同時に私は、彼が敢えてジョーカーでなく、クイーンを全面に見せつけて、私を出し抜こうとしているとも考えた。
……分からない。
加えてルイスは顔色で悟られないように、しっかりと横を向いて目を合わせないようにしている。なので、彼の顔を拝むことが出来ない。
刻々と過ぎ行く時間が私に僅かな焦りを生み、その結果……左側にあったカードを手にとってしまった……。
「悔しい! なんでルイスに負けるのよー!」
「いや、軽く俺のこと誹謗中傷してるの分かるから! そういうの止めなさい!」
「ふっふっふっ♪」
いつも通り、ルイスは突っ込みを入れてくる。
ミーナちゃんは鼻歌を歌っている。
余談だが、そのババ抜きにはミーナちゃんも参加していた。まあ、一番に勝ち抜けしたのだけど。それは、然程も問題でない。ミーナちゃんに負けるのは悔しくない。
ミーナちゃんはミーナちゃんだから、つまり絶対的な正義。
ミーナちゃんが勝ち抜けて喜ぶ中、それを微笑ましく見守りつつ、それからルイスと本気のババ抜きを開始したのである。
「さて、そろそろ片付けるか……まさか二回やって、二回ともミーナちゃんが勝つなんてな。流石ミーナちゃんって感じだな!」
「えへへ、ババ抜き楽しかったね!」
ミーナちゃんの提案から始まったババ抜き。
当然ミーナちゃんは二勝して満足げな笑顔を浮かべている。そこで終わるのは不思議ではない。……だがしかし、私はそれでは納得出来ない!
二回やって二回ともルイスに……ルイスに負けて最下位なんて!!
「ちょっと待って……」
「ん? なんだよサシャ?」
ほーん、しらばっくれる気かしら?
勝ち逃げ等とふざけたことをさせる訳がないじゃない!
私は絶対に……絶対に負けない!
闘争心剥出しだということを態度で示したが、ルイスは如何せん理解していないような表情のまま。
「な、なんだよ……腹へったの?」
なんてデリカシーの無いこと……。
私がジト目で睨み付けると、ヤバイと察したのか、目線をそらして、頭を掻いて誤魔化す。
「ルイス……ババ抜き」
「……は?」
仕方がないので、そのまま伝えることになった。
「え? サシャお姉ちゃん、もう一回やるの?」
「ええ、でも……これはルイスとの一騎討ち……絶対に負けないわ」
ミーナちゃんは察しが良いようで、面白そうな感じに訊ねてきた。
ここまで来れば、ルイスも理解したようで、二、三回頭を横に振りながらも、最終的には同意したであろう。
再びカードを机に出して、先程と同じように席についた。
ふっ、絶対に勝ってやるわ!
「はぁ……一回だけだぞ」
「ええ、それで良いわ。力の差を見せつけてやるわ!」
高らかとそう宣言をして、急遽、ババ抜き第三回戦が幕を開けたのだった。
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