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33 初のクエスト2

 さて、迷子を発見したが、どうしたものだろう?

 見たところ、人間ではない。耳が長い。この辺には居ないはずのエルフの少女がそこには居たのだ。

 容姿はかなり良い方で、服は汚れているものの、貧相な感じでは無かった。


「ねぇ、貴方は一人?」

「ふぇ、お姉ちゃん誰?」


 かなり怯えた様子のその子は、震える指先をこちらに力無く向けながらそう呟いた。


「私はサシャ。冒険者よ。貴女のお名前は? それから、ご両親は居ないのかしら?」

「私、ミーナ。お母さん居なくなっちゃった……」


 今にも泣き出しそうなそのミーナを優しく抱き締める。すると、我慢していた涙腺が崩壊したように彼女は号泣をしてしまった。


「ルイス、この辺りにエルフ族は住んでいるの?」

「いや、少なくとも、そんな話は聞いたことが無い。エルフ族が居るのならば、もっとこう、共和国にだって居るものだし」

「そう」


 そんな事を聞けば余計に腕の中で啜り泣くその子が不憫でならない。


「ルイス、この子を引き取るわ。多分迷子じゃなくて捨て子よ」


「はぁ!? 捨て子までは分かるけど、それがどうしたら引き取るって話になるんだよ。そもそも俺達は仕事でこの森にきてるんだぞ? それにこの子を引き取っても養うだけの金がないよ」

「そうだけど、こんなところで見捨てられないわ」


 彼女は私達と同じで帰る場所が無い。

 理由は違えども、彼女も一応同じくらいに身寄りの無い子。放っては置けない。


「分かったよ……」

「ルイス?」


「サシャは言っても聞かないからね。それに境遇は俺達とそう変わんないし、それなら見捨てるのも心苦しいし」


 ルイスも仕方無しにと納得してくれた。

 後は、彼女の返答だが……。


「それで、私達としては、貴女に一緒に来てもらいたいのだけど……どうかしら?」

「……お母さんに会えるかな?」

「ええ、いつか会えるわ」


 そう言うと、嬉しそうに首を縦に振った。


「なら、一緒に行く。よろしくねお姉ちゃん! お兄ちゃん!」


 嘘とは人を幸せにするものであるが、同時に不幸も寄越してくる。

 この世界に絶対的な幸せなど無い。残酷なこの現実からは、一時は逃れられても、ずっとは逃げ続けられない。

 例えばこの『母親にまた会える』という嘘でさえ、いずれ真実を教えてあげなければならないのだ。

 でも今は、彼女にとってそれを告げなくても良いのではないか。それは、また彼女が大人になってからにしよう。


「うん、よろしくねミーナちゃん。私はサシャよ」

「俺はルイス。困ったことがあればなんでも言ってくれ。と言っても、そこのサシャの方が頼りになるけどな」


 チラリと目線を此方に向けてそう言うルイス。

 その目には、先程の嘘に関して何か言いたげな感情が含まれているのが読み取れた。


「うん! サシャお姉ちゃんにルイスお兄ちゃんだね。私はミーナ、お家はエルフの里で今年、七歳」


 どう見ても七歳よりも幼さが垣間見える彼女は、きっとそれはエルフ族だからだろう。

 エルフの寿命は千年とも二千年とも言われている。人間よりも長命なのだ。


「そう、ミーナちゃんは七歳なのね。私達は冒険者だから旅をするけど良い?」

「うん!」


 よし、ミーナちゃんからの承諾も貰った。

後は……そう、今後どうするかだ。


「……さて、これからどうしようルイス?」

「うーん、取り敢えずクエストの方もクリアしないとだよな。それがないとお金貰えないし」


「くえすと?」


 疑問符たっぷりの視線で此方をくりんとしたその可愛らしいお目眼で見詰めてくる。正直可愛くて仕方がないです。


「ええ、私達、金のネックレスを探しているの」


「ねっくれす?」

「金色の首に掛けるやつだよ」


 ルイスがそう言うと、スボンのポケットをこぞこぞと探り足だすミーナちゃん。 

 「見つけた!」と元気良くそう言うと、彼女の手には金のネックレス。


「これ?」


 その手のひらに乗っかった金のネックレスは間違いなく探し物のそれだった。


「ルイス……」

「何?」


「探し物、見つかったわね」

「ああ、この子を保護して良かったね……」


 こんなにも簡単に見つかるとは、しかも、このミーナちゃんが持っていたのだ。良いことをすれば、それは返ってくるといった教えがあるが、それが正に今回が良い例となった。


「さて、目的も済んだし、ギルドに帰りましょ」

 ミーナちゃん


 森でサシャとルイスが見つけたエルフの少女。

 七歳らしいが、外見年齢は五歳くらい。

 サシャが溺愛し、ルイスも可愛いと考えている。

 天使のようなその幼い容姿にエルフの長耳が良く似合う。

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