27 八方塞がり ハロルダ王子視点
ライナ男爵令嬢の元を訪れたハロルダは、思わぬ彼女の非協力的な言葉に唖然としながらも、新たな協力者を探す。
次に向かったのは彼女を家から勘当したあの公爵家。
フリーク公爵家だった。
彼らにも色々不条理な出来事が起こっているであろう。それはどの人が考えてもそう辿り着くのだった。
「突然の訪問ですまない。フリーク公爵殿は居られるか?」
「はい、只今主をお呼び致します」
王子の訪問にさぞや驚いたのだろう。
公爵家の使用人でも、いそいそと屋敷の敷地へフリーク公爵を呼びに走っていった。
やがて、上着を羽織りながらフリーク公爵がゆったりとした足取りで姿を表した。
堂々とした立ち振る舞いは正しく威厳たっぷりの貴族の主そのものだ。
息をするのも忘れてしまうくらいに、俺はフリーク公爵に見入っていた。
「ハロルダ王子、我が家に何かご用ですかな?」
「あ……いや、少し聞きたいことがあってだな」
「ほう、それはどのような事でしょうか?」
「サシャについてです──」
別段表情を変える様子もなく、フリーク公爵家はその言葉を受け止めていた。
「家の元娘がどうかしましたか?」
その元という言葉には限り無く彼女と家の縁が切れているというのを表していた。
それでも言うべき言葉は俺の中では決まっていた。
「サシャを探して欲しい。彼女が居なくなった後に、不幸が続いているんだ。フリーク公爵殿は不幸なことが続いていて、困ってらっしゃるのでは?」
しかし、それでもフリーク公爵は眉ひとつ動かさずに佇んでいる。不動という言葉がよく似合いそうな佇まい。
「別に家ではおかしな事は起こっておりませんよ。そのようなことがあれば我が家の力を発揮して彼女を連れ戻している頃でしょう」
予想とは裏腹に公爵家には不幸な出来事が起こっていなかった。家族補正なのか? それともただの偶然であるのか? それは今のハロルダには理解が出来ない。
二軒目の貴族の家にして、二回とも協力を取り付けられない。
貴族が彼女を探すために協力をしてくれると言うことは、つまりそれは格段に発見確率が上昇するということ。
人脈の広さは家の大きさに匹敵していると言っても過言では無かった。
「ハロルダ王子? どうなされましたか?」
「いえ、フリーク殿。少し予想が外れただけだ。特に気にしないでくれ」
「そうですか……それから残念ながら私どもの家ではサシャの捜索は手引き出来ませんな。一度勘当してしまった娘を連れ戻そうとするなど、公爵家の名折れ。申し訳ありませんが他を当たって下さりませ」
丁寧な言葉に、公爵家の家の名を優先する旨を伝えてきたフリーク公爵は王子の頼みをやんわりと断っていた。
それに仄かに肩を落とす王子だが、それでも仕方がないことだと割りきった。
「いや、こちらこそ無理を言ってすまなかった」
「お力になれずに申し訳無い」
ライナ男爵令嬢のところで捜索協力は得られず、されどこちらの公爵家からの協力も得られず、既に行く宛など無い。
無関係な貴族達からしたら、報酬目当てで協力をしてくる者は居るかもしれないが、彼らからしたら、そんな流れ弾に巻き込まれるような面倒事に自ら突っ込んでいくような者は少ないだろうし、このような事態はそもそも婚約破棄が原因。
そうとするならば、彼らは王家に対して、不満を持っている。
そうして力を失ったこの王国は他国に淘汰されるのが目に見えていた。
ハロルダ王子は悩む、この絶望的な状況を打開するにはどうすれば正解なのかと。
しかし、その答えは出ない。
山瀬から吹き下ろす風が服を揺らし、彼の心も多大な揺れを起こしていた。
少し投稿をお休みしたいと思います。
申し訳ないです。




