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26 大きな思い違い ハロルダ王子視点

「それはどういうことですか?」


 正気に戻ったかのように、病的な声色からシラフの声色に戻ったライナは、王子に対して質問を投げ掛けた。

 王子にとってもそれは、受け入れたくない現実のため、話すのが悔やまれるが、やがて王子も口を開く。


「サシャの目撃情報があったんだ」

「えっ、それって……」

「そうだ、彼女は死んでいない。それどころか、森で野生の熊を弄んでいたそうだ」


 うわぁ、と声が出そうな位に嫌な顔をするライナだが、そのことも気にせずにハロルダは話を続けた。

「彼女は生きている。そして、この国をあの呪いから守っていてくれていたが、加護を解いてそのまま消えた」

「そ、そんな……」

「ライナ、彼女を見つけてこの国を守ってもらう以外には、俺たちに生きる術は無い!」


 状況が読めていないククル男爵は、話を静観しながらそわそわしている。


「ライナ、彼女に謝るんだ。そして、彼女と再びこの国で暮らそう!」


 このようなお花畑な頭の王子を見たら、サシャは虫ケラを見るような目で彼を見下ろすだろう。

 しかし、それを聞いているのはサシャではなく、男爵令嬢のライナであった。

 自分のしでかした失敗を謝罪だけで無かったことのようにするなど、サシャが許せるはずも無い。それが分かっていない王子は、ライナに問いかけたのだ。

 ──謝って許して貰おうと。


「……お断りしますわ」


 しかし、彼女は至極冷静に王子の意見に反対の表明をしたのだ。これには、ククル男爵も口をあんぐりとあけて呆然とし、勿論、王子でさえもそのような否定の言葉を返されるなんて思っても見なかった。


「な、何故だ! 彼女に謝って許して──」

「もう、良いです王子」


 王子の言葉を遮るようにして、ライナは話を切った。


「私は彼女の心に深い傷を負わせてしまいました。それで謝って許して貰うですって? そんな道理が通る筈無いじゃありませんか。私は私の罪を受け入れます。それがどんなに苦しいものでも……。サシャは私に裏切られるまでずっと優しく接してくれていたんです。どんなときでも手を差し伸べてくれていた。それを無下にした私に謝る資格も無いし、生きている資格もありません!」


 王子には何も言い返せない。

 それは、彼女の言っていることは紛れもなく正論であるから。


「彼女は私に呪いをかけていた訳では無かった。最後まで彼女は私個人に対して罰を与えなかった。彼女の為に、私はもう……」


 言葉は最後まで続かない。

 しんみりとした空気になっているが、彼女は大きな勘違いをしている。それは、彼女自身に罰を与えていなくとも、彼女以上の存在。

 サシャは国民全員に罰を与えているのだから。

 結果的にライナは想像していたよりも大きな罪を犯していた。

 国を巻き込みその全てを無に還してしまうという大罪を────。

くっ……そろそろ部活動が……。

ということで、更新遅くなるかもです。

高校生だから許してね!

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