24 女神サレーシャ ハロルダ王子視点
女神サレーシャ。
あらゆる力を司る女神。その戦闘能力は、他の三人の女神が束で掛かったとしても敵わないと言われている位に強力な女神。
かの女神は魔法適性も高く、魔法を使いこなせるという。
他の女神に劣っている点としては、寝相、方向感覚、それから回復魔法位だろう。
寝相、方向感覚についてはふざけていると思われるかも知れないが、女神を詳細に記した記述にきちんと書いてあること。
回復魔法に関しては、そもそもダメージを負わないくらいに強力な彼女には不要の長物らしく、修めなかったと書かれている。
更に彼女は女神の中でも一番の長生き、知識も豊富にあるという。
かの女神は、スケット王国に呪いを掛けた魔神ルイヴィースを撃退し、王国に掛かった呪いを解こうと尽力した。
しかし、呪いは強力なもので、彼女の力を以てしても解くことは叶わない。それは、同時に彼女の闘志に火を付けて、彼女はこの呪いが発動するのを防いでやるとスケット王国に加護を掛けて、その身をこの国の人間の魂に宿した。
以来、スケット王国で起こっていた不幸の数々はパタリと止み、国民は女神サレーシャを崇め、奉った。
意外なことに女神サレーシャは魔神ルイヴィースに対して恋をしていたという噂があったが、真相は不明。
そして、王国は繁栄し、この世界の五大大国にまで成長を遂げる。
初代国王のアレル・スケットは、国を救ってくれた女神サレーシャに密かに恋をしていたが、その一方で、サレーシャの方は国王アレルに対して、そのような感情は皆無だった。
それは魔神ルイヴィースに彼女が好意を持っていたからなのか? それを知る者は女神サレーシャただ一人。
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「これが女神サレーシャについて記されているものです」
使用人がページを捲るのは、この世界に存在するという神についての記述の書。
王子と共に王宮の禁書庫では、いくつかの神についての本が机上に重ねられていた。
「女神サレーシャ、力を司る女神……。サシャも凄い魔力を持っているように薄々勘づいていたが、サレーシャの生まれ変わりだとは、その時は思わなかった」
こめかみに指を添えながら、使用人に向かってそう伝えるのはハロルダ王子。
「それにしても、この魔神ルイヴィースっていうのも気になりますね。この魔神がこの国に災いをもたらしているのですから」
「しかもサシャ……いや、女神サレーシャが恋をしていたというのも気になる。それなら魔神の邪魔をしないのではないのか?」
唸るが、答えは何度本と睨み合いを続けても一向に浮かんでこない。
「この国に愛想をつかしたサレーシャは、ルイヴィースに肩入れして、加護を解いたのか?」
「それは、分かり兼ねますね。王子はどのようにお考えで?」
「その可能性もあると思っている」
禁書庫での議論は続く。しかし、当のサシャはというと、そんな深いことは考えておらず、彼らの深読みは返って難題を極めていた。
そして、魔神ルイヴィース。
彼はこの世界に存在しているが、実は今、国外に向けて移動している真っ最中なのだった。
女神サレーシャ
王国の守神として崇められてきた。
魔神ルイヴィース
王国に災厄をもたらしたとされる魔神。
女神サレーシャに破れて、力を封印され、人間に転生させられた。
かの呪いは約一万年の効果があると自負しているが……。




