22 訃報 ハロルダ王子視点
先程、我が愛する母のリリアンが亡くなったと使用人経由で伝えられた。
死因は原因不明の衰弱によるもの。
過去にもこのような事例が存在する。そう、呪われてあの女神がこの地に君臨する前に、謎の衰弱での死亡が多発していた。
死亡する者は皆、高熱を出し、口から吐血をする。そして、体の一部が紫色に変色する。
やがて、高熱だった体温が徐々に下がり始め、そのまま平熱を過ぎても下がり続ける。
死に向かうのだ。
今回の王妃リリアンの死にもその兆候があったのだ。
高熱に魘されて、私がサシャの捜索に出ているときには、吐血もして非常に苦しそうな表情だったという。
それから、リリアンの亡骸からは、紫色に変色した部位が多数見つかった。
それはもう、あの時の悲劇が再び訪れていることを裏付けるものだった。
サシャを見つけなければ。
早くしなければ、国民全てがいずれ亡くなる。
国内にいても国外に居ても、ここの住民は死に絶えてしまう。
完全に詰みの関係が出来上がっている。
打破するには女神の加護をこの地に再生させなければならない。
やはり、女神はサシャだったか。
俺は今確信を百パーセントの物に変えた。
今更何が出来るのか? それはただ懸命に彼女を探し出すのみだった。
彼女に謝り、再びこの地を守ってもらう。
「おい、至急伝えたいことがある」
「はっ! 誰をお呼びしますか?」
扉の付近に控えていた使用人に対して、そう語りかけた後、俺は覚悟の面持ちで、深く胸に空気を吸い込んだ。
「全国民にだ! 彼女を、公爵令嬢サシャ・フリークの居場所を知っている者が居ないか国中で呼び掛けろ! 情報提供者には、国から褒美を出す。ありったけの貼り紙を国中に設けるんだ!」
使用人は、その切羽詰まった声色に驚きながらも、
「はっ! 了解致しました。すぐに取り掛かります」
駆け足で国王への打診に走っていった。
俺は、すぐさまサシャの捜索を再開したいので、最寄りの冒険者ギルドに赴き、一つの依頼をした。
『依頼内容
人探し。
公爵令嬢のサシャ・フリークの捜索をしてほしい。
報酬は望む額を提示。緊急なので、冒険者のランクは問わない。
いち早く彼女のことを見つけて、連れてきてくれた者に報酬を授けることを誓おう。
依頼主 ハロルダ王子』
突拍子の無いような依頼にも関わらず、冒険者はその依頼の貼り紙の場所に一目散に集まっていた。
望む額の報酬なんて言う破格のリターンは、毎日危険を犯しながら生活を切り持っている彼らにとっては、渇きを癒してくれるオアシス同然。
翌日から、冒険者ギルドの人間達は動きを活発化させた。
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