20 辿り着く
あれから私とルイスは歩き続け、獰猛な動物に襲われながらも、難なくコレット共和国の都市に辿り着いた。
既に満身創痍のルイスは、辿り着いた瞬間にへたり込み、そのまま嬉しさのあまり吠えていた。
私は然程疲れていなかったので、冷静にルイスに突っ込みを入れてから、目の前に佇む大きな門を潜った。
都市に入ってからの第一印象。
かなり、大きな国だった。
「広いわね、中々王国ではないような建物もあるし、それから出店も充実してる。良いところね」
「そうだろ! コレット共和国は住みやすい国ランキングで一位に輝くほど住みやすく、心地よいところなんだよ」
ルイスは胸を張ってそう言った。
因みにそのランキングは誰が決めているのかと聞くと、ルイスが決めているとか……当てになるはず無かったが、それでもこの場所は凄く気に入った。
私の人生で訪れたい場所ランキングのトップテンに載ることだろう。こんなことを考えるとルイスと同じになりそうだから止めておこう。
「サシャ、こっちにギルドがある。早く冒険者登録して、バリバリ稼ごうぜ!」
張り切っているのか、私の腕をとって、ぐいぐいとギルドがあるという方向へと歩いていく、早足で。
やがて、先程よりも開けた通りに出た。
立派な建物だなぁ……。なんて思っていると、看板には『冒険者ギルド』って書いてあった。
そのまま、ルイスに引き連れられて、ギルドの扉を開けたのだった。
「ようこそ、冒険者ギルドへ!」
出迎えてくれたのは、私より一つか二つ位歳上な受付嬢だった。(私という人間の年齢と比較して)
「あの、冒険者登録をしたいのですが」
「はい、ではこちらにどうぞ」
ルイスのそのたどたどしい声色に丁寧に対応する受付嬢は、さながら慣れた手付きで、私とルイスを別の個室へと案内した。
そこには、簡素な書斎が広がり、奥には大きな椅子と、束が物凄い量まで積み重なった書類が置いてあった。
「こちらです」
受付嬢の言われた通りに、部屋にあった接客用の椅子と机に案内されて、そこに恐る恐る座る。
すると、先程の書類の束の中から、二枚書類を抜き出して、こちらに持ってきたのだった。
「こちらに名前と年齢、性別、それから役職を記入してください」
「分かりました」
「ええ」
簡単に返事をした後、
名前……サシャ?不味いか。いや、良いのか。
年齢、十六歳。(一万七千……いやいやいや、違うから!!)
性別、女性
役職、女神……それは不味い!! ……剣士いや、魔道師でもいいか。
等と記入をしていると、嬉しそうに受付嬢が書類を書いている私を覗き込んできていた。
「あの、どうかされましたか?」
聞くと受付嬢はくすりと可愛らしく笑い。
「いえいえ、久しぶりに若い女性の方が登録に来られて、なんだか嬉しくて」
そんなことを満面の笑みで言われるものだから、やや照れてしまった。誉められ慣れることなど無いのである。
書類を書き終えると、ペンを置いて軽く伸びをする。
横目にルイスの様子を見ていると何か唸っている。何かあったのだろうか?
「どうしたのルイス? 何か問題でも?」
そう聞くと、浮かない顔で彼は呟いた。
「役職……勇者って付けてもいいかな?」
次の瞬間、軽く彼の後頭部をひっぱたいた。
そんな下らないことで悩まないでよ!!!
その光景を見ていた受付嬢の子は、「仲がよろしいのですね」って笑っていたが、あれは社交辞令だわ。口元ひきつってたもの。
取り敢えず、共和国に到着致しました。
一段落ですかね。
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