19 平原での戦闘5
「アイススピアー!」
沈黙を破ったのは、私の方からだ。
ヒュン!ヒュン!ヒュンッ!!
「「「「ギヤァァァァッ!!!」」」」
言葉一つで作り出した無数の氷柱によって、数頭の猛獣にヒット。禍々しい呻き声を上げながら鮮血を辺りに撒き散らした。
それを皮切りにし、全方向からこちらに目掛けて突撃が開始される。
「あら、気性が荒いこと」
「ガギャンッ?」
直ぐに障壁を展開して、相手の攻撃を無力化する。
まあ、相手は所詮動物……理解しきれていないといった感じだ。
「もう手遅れよ」
「ギャウン……」
私に襲い掛かってきた一頭に対して、自らの武術で一撃。
猛獣は何をされたのか理解できないまま、意識を手放した。
明らかに猛獣達は動揺し、たじろぎ、攻撃を躊躇っている。しかし、そんなことは私には関係がない。
──隙を与えないように立ち回るのが私のすべきこと。
「アイススピアー!」
ヒュッ!
「ガァァァァァギャッ!!」
「グゥァッ!!」
「クュャッン!!!」
再び作り出した氷柱を止めどなく猛獣目掛けて、飛ばす。その光景は正しく獲物を殺る狩人そのもの。
「ギャァァァッン!」
たちまち猛獣の数は五頭にまで激減した。
残ったのは、私が攻撃を仕掛けても動こうとしなかった知的な五頭。
仲間の獣達が殺されたのにも関わらず、激昂も咆哮も上げずに、観察するようにこちらをじっと凝視していた。
「あら? そちらのわんちゃん達は来ないのかしら?」
「────クゥ……」
聞いたところで返答はない。
拍子抜けしてしまうような、現状を打破しようかと、軽く足をそちらに向けて踏み出すと、忌々しげにこちらを一睨みした後に大きな猛獣を元とした五頭は、背を向けて逃げ去ってしまった。
「何がしたかったのかしら?」
纏っていた魔力のオーラを鎮めて疑問符を浮かべた彼女には理解が出来ていなかった。
動物には第六感というものがある。特に危険を察知する感覚があったりするのだが、それはある程度知能の備わったものにしか分からないらしい。
知能が高かったから、一番大きな猛獣を筆頭にした五頭は襲ってこなかった。
逆に知能が低く、危機感の感じられない無鉄砲な突撃を繰り返し行った猛獣たちは、仲間が殺られた後、私に向かって何の躊躇いも無く攻撃を仕掛けた。
私のことを危険な存在と判断のついた五頭は戦闘に介入せず、生命の安全を優先し、撤退した。
見た目はただの人間の女性、だが中身は人間とはかけ離れた高位の存在。それは見る者によっては一目瞭然のことだった。
上からギシギシと木の幹が揺れる音がしてくる。
「ルイス、もう降りてきても大丈夫よ」
「ああ、ありがとう」
恐る恐るだが、地面に獰猛な存在が一つとして残っていないことを確認すると、ルイスはスルスルと木から降りた。
「しかしまぁ、よくもあんなにポンポン魔法を連続で使用できるな。普通なら疲れるものだと思うけど」
魔法の詠唱には集中力が必要不可欠。だから、魔法で仕事をしている人は、精神的に疲労が溜まりやすい。
彼女の魔法の詠唱速度、頻度、威力、質は、常軌を逸しているものだった。
それは、魔法があまり使えないルイスから見ても簡単に分かることだった。
こちらをジロジロ見てくるルイスに耐えられなくなり、ついそっぽを向いて辺りを確認するように目線を移す。当然何一つとして、問題はない。
「別に、私は公爵令嬢だったから、魔法も完璧なのよ」
「公爵令嬢と魔法の才能は関係ないと思うんだが……」
いつしか、回りは魔法の被害で地面ボコボコ、死体がわんさか転がりまくっているという地獄絵図が出来上がっていた。
だから、私がルイスに対して色々と魔法について言い訳をするのも一筋縄ではいくはず無かった。
はぁ、面倒ね……。
まあ、公爵令嬢だったから、魔法が優れている。なんて言い訳が通るなんて思っていない。
「まあ、そうね。取り敢えずは犬の肉を集めてからにしましょうか」
「食い意地張ってんな。その肉、不味かったのにさ」
取り敢えず、話題の転換に成功した。
後の説明に関しても、あれこれ捏造して、乗り切った。
そのせいか、ルイスから随分と頼りにしてるぞという目線が強くなったが、それはきっと仕方がないのかもしれない。
投稿のペース落ちるかもです。
色々勉強をしなくてはいけないので。
学ぶことが多くて大変!!
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