狐に包まれる~七夕~
「ただいま~」
僕は、僕は、家のドアを開けた。
「お帰りなさい!」
相変わらず、可愛らしい雪狐が、僕に抱きついてきた。僕に触れる、大きくなった雪狐のお腹がいとおしい。
「おや?」
僕は、リビングの隅に小さな笹を見つけた。
「今日は、七夕ですので。」
雪狐は、すでに飾ってある短冊を手に取る。
そこには・・・
「だんなさまや、赤ちゃんといつまでも一緒にいられますように。」
と書かれていた。
「じゃあ、僕も書くか。」
僕は、短冊に願い事を書く。
「いつまでも幸せでいられますように。」
いつ、この世界は幸せであることを無言の圧力で押し潰されるようになったのだろう・・・
いつ、やさしい人々がいじめられるようになったのだろう・・・
いつ、正義を訴えた人が同じ正義の名のもとに、苦しめられるようになったのだろう・・・
僕は、短冊に願いをかけて、笹に吊るした。
「いつまでも一緒にいよう。」
「はい。
だんなさま・・・」