表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

その質問に答えはあるのか?

作者: その質問に答えはあるのか?

むかしあるところに僕の友人でFという男がいた。彼は実直でルックスも良くいいやつではあったが、いくらか面白味に欠けるやつだった。


Fには彼女がいた。それなりに美人でそれなりに胸の大きなスレンダーな女の子。Fには申し分のない彼女であった。ただひとつの欠点はヘビースモーカーであること。でもFは彼女のことを真剣に愛していた。


その日彼女はいつものように神経質そうにタバコを吸いながらFにこう質問してきた。


『私がいなくなったらどうする?』


「それは困るなぁ」


「それだけ?」


う~ん

「僕もいなくなる。」


Fがそう答えると、彼女はあきらめたようになにも言わずFを見つめていた。

そして、「おでんが食べたい。」

と言って立ち上がった。


「この真夏におでん?」

とFが言うと、

「真夏におでんを食べたら駄目だって誰が決めたの?」と目を細めFに向き合った。


もちろん、真夏でもおでん屋は営業していた。


おでんを食べ、二人で部屋に帰り、いつものように二人でベットに入り、いつものように眠りについた。遺跡のような深い眠りだった。


翌朝Fが目覚めると、彼女の姿はなかった。彼女の洋服も下着も歯ブラシも、彼女を連想させるものはなにもなかった。なぜか唯一白いキャミソールだけが残されていた。


Fは彼女の白いキャミソールをリビングのテーブルに広げ、途方にくれた。


そして考えた。


あの時もっと気の効く答をしていたら彼女はいなくならなかったのだろうかと。


その質問に答えはあったのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ