表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蹴王(けりおう)と呼ばれた男  作者: 明日こそはシンデレラ
9/54

俺の負けだ!!

フグ「こいつ、俺の踵落としを喰らっても、まだ意識があるというのか!!タフな奴め。」


フグは、石を拾って両手で握り、マックに乗しかかってマウントポジションを取った。


フグ「喰らえ!!フグ・フルボッコ!!」


フグは、マックの顔面を何発も石で殴りつけた。


マック「ギャアアアア!!」


マックは絶叫をあげて気絶した。


フグ「とどめだ!!ナカムラ~~シュンスケへスルーパス!!」


フグは、既に気絶して仰向けに倒れているマックの左脇腹に、蹴りを入れた。そして、右足を高く上げ、勝利のポーズをとった。


スライム「さすがフグさん、見事な勝利だ。さあ、私のサイフを。」


フグ「ここの中か?」


フグは、ゴリラのマイクの腹にある、体毛で作ったドラえもんのようなポケットに手を入れ、黒い長財布を取り出した。


スライム「ありがとう、フグさん。」


フグ「これは、たった今、俺の金になった。」


スライム「待ってくれ、フグさん。それは今月の家のローン代だ。あんたに上げるわけにはいかない。た、頼む。返してくれ!!あんたの時給を今月から100円上げるから!!」


フグ「なに!!100円だと!!」


フグの現在の時給は720円だから、100円上がると820円になる。100円上がるということは、1ヶ月工場に20日間出勤とすると、1日8時間労働で、16000円給料が上がることになる。この先もずっとこの工場で働くつもりだから、こっちの方が得だなと思い、フグの心が動いた。


フグ「いいだろう。」


フグは、スライムに長財布を渡した。


スライム「ありがとう、フグさん。そうだ、私の家に来てくれ。ぜひ、お礼としてご馳走したい。」


フグは、工場長・スライムの後について草原を歩いて行くと、紫色の水溜まりに着いた。


スライム「フグさん、飛び込むぞ。これは、私の家の庭に繋がっているワームホールだ。」


スライムが水溜まりに飛び込んだので、フグも飛び込んだ。もの凄い勢いの水流に包まれて、別の場所の水溜まりからフグが飛び出ると、目の前にかなり大きな黄色の屋敷があった。


スライム「フグさん、これが私の家だ。さあ、入って。」


フグ「なに!!工場長ともなると、こんな豪邸に住めるようになるのか。」


フグがスライムの豪邸に入ると、金髪のかなり若くて美人な女が出て来た。


金髪の女「お帰りなさい、あなた。」


スライム「やあ。元気にしてたかい、イバンカ。こちらはフグさん。さっき、草原で助けてもらったんだ。何かご馳走を出してあげて。」


フグ(な、なに!!こんな美人がスライムの奥さんだというのか!!)


イバンカ「初めまして。今日は主人がお世話になりました。さあ、どうぞ上がって下さい。」


フグ「う・・・・ううぅ。」


フグの目から涙が零れた。


フグ(俺は今まで何をやってたんだ!!スライムは工場長で立派な家を建て、綺麗な嫁さんをもらって・・・・俺の負けだ!!)


この日は、フグが今までの人生で、初めて自分が負けたと感じた日となった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ