生きているだけで幸せ
天の川を見上げながら、ドラゴンが喋り始めた。
ドラゴン「俺は麻薬に手を出し、死んでいたよ。有名な映画スターだったらしい。」
フグ「お前もか!!俺は病気で死んでいた。有名な格闘家だったようだ。俺達は死んでいるのか?ここは、あの世なのか?この世界の住人は、みんな死んでいるのか?」
ドラゴン「カッパが言っていたよ、世界はいっぱいあるって。そして、その世界の数だけ、自分がいるんだとよ。」
フグ「じゃあ、さっき見たのは、別の世界の自分というわけか。俺達は、自分が死んだ世界を見て来たというのか?」
ドラゴン「そうだな。呼吸もしてるし、心臓の音も聞こえる。少なくとも俺達が今、生きているのには間違いない。」
フグ「生きているだけで幸せだな。」
ドラゴン「だな。さて、夜も遅いしそろそろ寝るか。さっきも言ったが、俺には帰る家がない。お前に焼かれたからな。だから、今日は泊めさせてもらう。」
フグ「ダメだ!!お前みたいな汚ないおっさんを、俺の家に泊めるわけにはいかない!!家が汚れる!!」
ドラゴン「あんなボロ小屋、あれ以上汚れるかよ!!こうなったら、お前を倒してあのボロ小屋を俺の家にする!!」
フグ「なんだと!!ついにクズの本性を現したな!!さすが親父狩りキング!!いいだろう、俺の空手でボコボコにしてやる!!」
ドラゴン「ほざけ!!カンフーの破壊力は空手の10倍!!ボコボコになるのはお前の方だ!!」
フグ「ドリャアアアア!!」
ドラゴン「ホアチャアアアア!!」
今日も元気なフグの掛け声が、夜の草原に響き渡った。
一 おしまい 一