世界最強の空手家
ボブ「俺の頭突きは、オットコヌシの1000倍だ!!アシカガよりも俺は強い!!死ね!!フグ!!」
フグ「ほざけ!!アシカガより俺の方が女にもてる!!喰らえ!!」
フグは、正拳突きを突く体勢に入った。
ボブ「聞いてあきれるぜ、フグよ!!アシカガは世界一もてる男だ!!お前とアシカガとじゃあ、月とすっぽん・・・・こ、この匂いは!!」
ボブは、フグに激突する寸前で立ち止まった。
ボブ「こ、これは山芋!!俺の大好物の山芋だ!!」
ボブは山芋を食べようと、地面を掘り始めた。
フグ「かかったな!!ボブ!!俺はそこに山芋があるのを知っていた。だから、この位置に立っていたのだ!!喰らえ!!セヤアアアア!!アルプスのおじさんパンチ!!」
ボブ「ハッしまった!!ついつい山芋を掘るのに夢中になってしまった!!グワアアアア!!」
フグの正拳突きが、ボブの右目に当たった。そして、右足を挙げて、勝利のポーズをとった。
ボブ「あいたっ痛ッ。クソッ目がなんかおかしい。景色が斜めに見える!!」
ボブは、フグのラッシュを避けるため、その場からふらつきながら離れた。
フグ「やはり、このでかい猪相手に素手で倒すのには、無理がある。よし、この隙に猟銃を小屋へ取りに行こう。今日は獅子鍋ならぬボブ鍋だ。」
ボブ「この空手野郎!!俺を鍋に入れて食うとか言ってやがる!!お前にだけは食われたくない!!」
ボブは、ふらつきながらも全速力で草原の奥へ逃げ始めた。
フグ「あっ野郎!!逃げやがった!!クソッ俺の晩飯のメインディッシュが!!」
フグは、小屋へ猟銃を取りに行くのをやめて、空手教室の動物達の方へ向かった。
ポン太「フグさん、なんかせこくない?山芋を食べてる隙に殴るなんて。」
ピョン吉「そうだよフグさん、空手を習えば、ライオンも倒せるようになるんだろ?」
ニャンゴロウ「そんなの無理に決まってるだろ、ライオンを見たら逃げるに限る。それにしても、あのポーズは要らねっての。」
ハリゾウ「いや、あれはかっこ良かったんじゃないかな。」
ニャンゴロウ「ハリゾウ。お前、センス悪いなあ。」
フグ「今のは知恵の勝利だ!!バカに空手はできん。今日の練習は終わり!!以上!!」
タツオ「じゃあ、お先に。」
ヨシコ「また来週。」
そう言うと2匹の象亀は、100mのボルト並みの速さで、草原を走って行った。
フグ「なぜだ!!なぜ、その速さを空手に生かせないんだ!!」
フグは象亀夫婦に叫んだが、その声は届かなかった。
ピョン吉「じゃあ、俺らも帰るか。」
ポン太「そうだな。じゃあね、フグさん。」
残りの4匹の動物達も、草原の奥へ帰って行った。
それを見送ると、フグは猪のボブが掘りかけにした山芋の所へ行き、引っこ抜いた。
フグ「おお!!これはでかい!!今日はとろろ芋にしよう。」
そう言うと、フグは山芋を持って、ボロ小屋の中へ入って行った。
レナ「言えない。とてもお父さんとお母さんには言えないわ。お兄ちゃんが、空手を動物達に教えて、ご飯は草原に生えてる山芋を食べてるなんて、とても言えないわ。」
レナは車のエンジンをかけた。白の新車のアクアだ。
レナ「でも、あの大きい猪を倒したのは事実。お兄ちゃんが、世界最強の空手家っていうのは確かね。野生の猪を素手で倒す人なんていないでしょ。フフフフッハハハハッ。」
レナは、フグが猪の右目に正拳突きをして、かっこよく右足を挙げて、勝利のポーズを決めた姿を思い出し、笑い始めた。
レナ「なんで正拳突きで決めたのに、足を挙げてポーズをとるの?あれじゃあ、まるでバレーダンサーじゃない。ハハハハッ。」
レナは笑いながら車を運転して、街へ帰って行った。