教祖 現る!!
フグが、ボロ小屋の側で薪を割っていると、若い女1人と4人の男達が、何やら話ながらやって来た。
男「教祖様、ここです。ここに住んでいる空手家に、私は服を剥ぎ取られ、ボコボコにされました。」
紛れもなくそれは、ジャスティスことヒロシの声で、若い女に話していた。
若い女「空手家・・・・私、空手家って嫌いなのよね。それにしても、汚ないボロ小屋ね。ほんとにこんなとこに、人が住んでるの?」
ヒロシの声を聞いて、フグは薪を割るのをやめ、ボロ小屋の入口の方へ行った。
フグ「悪かったな、汚ないボロ小屋で。あっお前は!!」
ジャスティス「この間は世話になったな!!フグ!!今日は教祖様を連れて来たぞ!!この方は、どんな男でも魅了して、自由自在に操れるのだ!!」
フグ「お前は仕事もせずに、こんなことばっかりしてるのか。」
ジャスティス「黙れ!!フリーターのお前に言われたくない!!年収からすれば、俺の賽銭泥棒の方が上だ!!」
フグは、ジャスティスに向かって怒鳴った。
フグ「ヒロシ!!お前は黙ってろ!!レナ、お前は働きもせず、ネクロマンサーとやらの教祖をしてるのか?」
ジャスティス「レナ?」
レナ「まさか、空手家と聞いて嫌な予感がしたけど、お兄ちゃんだったとは。でも、お兄ちゃんもフリーターで、ろくなもんじゃないじゃない!!しかも、こんな汚ない狸が住んでそうなボロ小屋に住んで、バカじゃないの?」
フグ「黙れ!!さっさと教祖なんか辞めて実家にでも帰れ!!そして就活するなり嫁にでもいけ!!これ以上、人様に迷惑をかけるな!!」
レナ「フリーターのお兄ちゃんこそ、実家に帰りなさいよ!!そして、ちゃんと就職して家庭でも持ったら?」
フグ「分かった分かった。じゃあ、お前は教祖をするなり好きなようにしろ。だからもう、帰ってくれ。」
レナ「そういうわけにはいかないわ。お兄ちゃんは、私の部下のジャスティスをボコボコにしたから、慰謝料を請求しますと言いたいけど、お兄ちゃんはお金を持ってないから、今日から私のボディーガードをしてもらいます。今日からお兄ちゃんは、ネクロマンサーよ。」
フグ「バカ言うな!!俺はお前の教祖ごっこに付き合うほど暇じゃない。そこのバカな男達を連れて、さっさと帰れ!!」
レナは両手でハートを作り、呪文を唱えた。
教祖・レナ「テンプテーション!!」
無数のハートのビームが、フグに向かって命中したが、フグには通用しなかった。
レナ「やっぱり、兄妹だから効かないの?」
フグ「みたいだな。ガキの頃から効かないの知ってるだろ?何回もお前のハートのビームを喰らったが、お前はアホの妹に他ならない。お前に操られる男の意味が分からん。」
ジャスティス「まさか、教祖様の兄貴だったとは。しかも、テンプテーションが効かないなんて!!」
レナ「クッお兄ちゃんなんて大嫌い!!草原でライオンかなんかに襲われて、このボロ小屋で死ねばいいわ!!」
ジャスティスは、レナのボディーガードと思われる男達3人に命令をした。
ジャスティス「お前ら、フグをボコボコにして捕らえろ!!」
3人の黒いスーツを着た男達は、一斉にフグに向かって飛びかかったが、フグの空手で、一瞬にしてやられてしまった。
フグはボロ小屋の中に入り、猟銃を持って出て来た。そして、ジャスティスの喉元に猟銃をあてて言った。
フグ「さあ、さっさと妹とそこのアホな男達を連れて帰れ!!」
ジャスティス「クックソ~。お前、覚えてろよ。」
レナ「ジャスティス、帰るわよ!!死ね!!このバカ兄貴!!この草原で、のたれ死にやがれ!!」
フグ「レナ・・・・たまには実家に帰れ。親父とお袋が心配してたぞ。」
レナ「はあ?そういうお兄ちゃんは、実家に帰ってるの?連絡とかしてるの?」
フグ「あっそうだ!!レナ、ちょっと待て!!」
フグは、ジャスティスに銃口をあてるのをやめ、ボロ小屋の奥の部屋から、ビニール袋を持って来た。
フグ「お袋が送ってくれた蜜柑だ。少しだが、持って帰って食べてみろ。甘くて美味しかったぞ。」
レナは蜜柑を受けとって男達に言った。
レナ「あなた達、いつまで寝てるの!!帰るわよ!!」