ネクロマンサー幹部・ジャスティス現る!!
フグとフグ・ゴーレムの激しいパンチとローキックの撃ち合いが、またまた始まったが、段々と土でできたフグ・ゴーレムの体にヒビが入り始めた。
フグ・ゴーレム「な、まさか、この俺が負けるなんて、そんなの有りえない!!グワアアアア!!」
そう叫びながらフグ・ゴーレムは、最期にフグの右正拳突きを腹に喰らって体が砕け、土となって、その場に土の山盛りができた。
魔女のおばさん「私のフグ・ゴーレムが!!おのれフグ!!喰らえ!!ストーン・ボール!!」
巨大なバスケットボール程の大きさの、土でできた丸いボールが幾つもフグに向かって飛んできた。
フグ「このババア!!」
フグは、飛んで来る土のボールを正拳突きで砕き、魔女のおばさんに向かって突進した。
フグ「お前は魔女じゃないな!!いったい何者だ!!」
フグが魔女のおばさんに近づくと、魔女のおばさんの体中にヒビが入り、ガラガラと崩れ始め、そして土の山盛りがその場に出来た。
フグ「このババアもゴーレムだったというのか!!」
自称・魔女の人々「ゴーレム召喚は、ネクロマンサーの術。まさか、魔女狩りにネクロマンサーが現れるなんて。」
「今年は不作だ!!稲は実らない!!」
「今年はきっと、大災害が起きるわ!!」
自称・魔女の人々が騒ぐ中、暗闇から黒のニット帽を被り、黒のサングラスにネックウォーマーで口元まで顔を隠した、1人の男が現れた。
男「さすがだな、フグ。俺はネクロマンサー幹部・極悪非道の心しか持たない男・ジャスティスだ!!」
フグ「なに!!極悪非道なのに、お前は名前がジャスティスだと言うのか!!」
ジャスティス「そうだ!!恐れ入ったか!!お前がカズノコさんに5000円を払わないから、上司であるこの俺が、取立てに来たのだ。さっき、お前のボロ小屋に行ったら、少年と女の子が出て来て、お前が魔女狩りの晩飯を食べに行ったと聞いて、ここに来たというわけだ。」
フグ「そういうことか。いいんだろう、相手になってやる!!どこからでもかかって来い!!」
フグは、キックボクシングスタイルで構えた。
ジャスティス「お前に恐怖を教えてやる!!極悪非道な俺の恐怖を味わうがいい!!」
ジャスティスが呪文を唱えようとしたとき、少年となっちゃんが走って来て、なっちゃんが魔法を唱えた。
なっちゃん「ファイアー・ボール!!」
なっちゃんの唱えたファイアーボールが、ジャスティスの体に何発か当たり、ジャスティスの服が燃え始めた。
ジャスティス「ギャアアアア!!アツッ熱い!!火が消えない!!誰か!!助けてくれ!!」
ジャスティスは地面を転がり回り、火を消そうとしたが消えなかった。
自称・魔女の人々「さすが、この街最強の魔法使い・なっちゃんのファイアーボールだ!!」
「おお!!例え相性の悪い水の魔法使い相手でも、関係なく火の魔法で燃やし尽くすというだけのことはある。」
フグ「お前ら、関心している場合か!!誰か水の魔法で消してやれ!!お前ら、魔女なんだろ?」
自称・魔女の人々「・・・・・・・・。」
フグ「魔女じゃないのかよ!!」
すると、1人の小学校低学年ぐらいの男の子が、フグに消火器を持って来た。
男の子「フグさん、これで消してあげて。僕は、消火器の使い方がちょっと分からない。」
フグ「おお!!よし、分かった。」
消防団にも入っているフグは、手際よく消火器で、ジャスティスの体の火を消した。ジャスティスのニット帽とネックウォーマーが半分ほど燃えて、サングラスが外れてジャスティスの素顔が丸見えになった。
自称・魔女の人々「あっあれはヒロシ!!賽銭泥棒のヒロシだ!!」
「あの野郎!!最近見ないし、真面目に働いてるのかと思ったら、ネクロマンサーになってやがったのか!!」
「なっちゃん、もう一度ファイアーボールで燃やして!!納骨できるぐらい、粉々に燃やして!!」
ジャスティスことヒロシは、フグの消火のおかげで火傷こそしなかったものの、正体がばれて精神的に弱り、燃える火の恐怖にさらされながら、激しく転げ回ったことにより、かなり体力を消耗し、立ち上がれなかった。
ジャスティス「た、頼む!!誰か救急車を!!救急車を呼んでくれ!!」
ジャスティスは少し起き上がってそう叫ぶと、また地面に仰向けに倒れた。
少しして、救急車が集会所にやって来て、救急隊員の3人がジャスティスをストレッチャーに乗せた。心配になったフグ・なっちゃん・少年・自称・魔女の人々は救急車の周りに集まった。
救急車に運ばれる中、仰向けに寝たままジャスティスは、フグを睨んで言った。
ジャスティス「フグ!!元はと言えば、お前がカズノコさんに5000円を払わないから、こんなことになったんだ!!お前が金を払わないから、俺の正体が街のみんなにバレてしまった!!お前だけは絶体許さない!!絶対いつか、お前から5000円を取立てて、殺してやる!!」
フグ「殺すって、お前の火を消したのは俺なんだぞ!!」
救急車の後部のドアが閉まり、フグの叫び声はジャスティスには届かず、ジャスティスは病院に運ばれて行った。