フグVS魔王・ペーター
フグがいつも通り、空手着を着て草原で空手の練習をしていると、30代半ばぐらいの農家の男が一人、訪ねて来た。
農家の男「この草原で、フグという、かなり強い空手家がいると聞いたんだが、それはアンタのことか?」
フグ「そうだ。」
農家の男「実は、魔王・ペーターに、俺達の村で栽培している人参を食い荒らされて、困ってるんだ。魔王・ペーターは大きな兎で、キックボクシングを使う。空手家のアンタなら、倒せると思い頼みに来たんだ。もちろん、それなりの報酬を払う。」
フグ「いいだろう、案内しろ。」
フグ(魔王と言っても、所詮は兎だ。大したことないだろう。)
そう思いながらフグは、農家の男についていき、草原から2キロほど離れた村に案内された。村に着くと、畑で身長2メートル程のボクシンググローブをつけた、白い大きな兎が1匹と、数匹の身長1メートル程の白い兎達が畑を荒らし、人参を食べまくっていた。数十人の鍬を持ってかかって来る農家の男達を、大きな兎は、パンチとハイキックで薙ぎ倒していた。
農家の男「あの大きなのが魔王・ペーターだ。」
フグ(あんなデカイ兎がいるとは・・・・しかも、俺の家から結構近いじゃないか。)
魔王・ペーター「人間てのは、どいつもこいつも弱いな。ん?空手着を着た男がいるぞ。おい、そこのおっさん、あんた空手家か?」
フグ「・・・・そうだ。」
魔王・ペーター「へえ。じゃあ、俺と勝負しようぜ。普通に闘っても面白くないから、キックボクシングルールでどうだ?1ラウンド3分で、1分間のインターバル。どっちかがKOするか動けなくなるまでだ。」
フグ「・・・・・・・・いいだろう。」
魔王・ペーター「いい度胸だ。おい、ヒロシ、時間を計れ。」
ペーターは、子分と思われる1匹の白い兎・ヒロシに命令をした。
ヒロシ「親分、了解です。」
フグとペーターは向かい合い、お互い構えた。農家の男達と子分の兎達は、2人を見守った。
ヒロシ「第1ラウンド、ファイト!!」
フグ「セヤッ」
魔王・ペーター「シュッ」
フグとペーターは、お互いローキックを打ち合った。
魔王・ペーター「ほう、少しはやるようだな。」
フグ「フン。農家の男達と一緒にするな!!」
ヒロシ「第1ラウンド終了。両者、離れて。」
レフリー慣れしたヒロシが、2人の間に割って入り、第1ラウンドは地味なローキックの打ち合いで終了した。
フグとペーターは、1分間のインターバルのため、畑に座り込んだ。