魔女狩り始まる
仕事が終わり、フグは家でビールを飲みながら、テレビを見て短い夜を満喫していると、ドアが、激しくドンドンドンドンと叩かれた。
フグ「こんな時間に、ドアをドンドンドンドンと。また額割ってるアイツらか。」
フグが、玄関のドアを開けようとすると、ドアが外れて、外に倒れた。
フグ「ああ!!またドアが外れた。お前ら、いい加減にしろ!!」
フグが怒鳴るとともに、少年となっちゃんが、家の中に駆け込んで来た。
少年「フグさん、今日から街は、魔女狩りが始まるんだ。しばらくここに、なっちゃんを隠れさせて!!」
なっちゃん「お願い、フグさん。お邪魔します。」
フグ「おい、ちょっと待て。このスマホが普及している時代に魔女狩りだと?」
少年「街のイベントで、今日から2日間、魔女狩りをするんだ。捕まった魔女達は、2日間、街の集会所で過ごさないといけない。」
フグ「なんだそれ?いいじゃないか、2日ぐらい集会所で過ごせば。たぶん、飯とか出るんだろ?」
なっちゃん「たしか去年は、チラシ寿司だったかな。次の日は、もつ鍋が出たような。」
フグ「いいじゃないか、それ。捕まった方がお得じゃないか。」
なっちゃん「でも捕まらなかったら、街の役場から、2万円貰えるの。協力してくれたら、フグさんに1万円あげる。」
フグ「な、本当か!!よし、俺に考えがある。」
フグがそう発言したとたん、ドアが外れた玄関口から、何人かの男達の声が聞こえてきた。
男達「なっちゃん、そこにいるのは分かってる。出て来い!!」
「なっちゃん!!こんな汚ない所は、体に悪いよ。」
「それにしても、恐ろしくボロイ小屋だな、ここは。」
フグはドカドカと玄関まで歩いて行き、怒鳴り散らした。
フグ「失礼だぞ、貴様ら!!」
男達「あんたは、空手家のフグ!!」
「こんな所に住んでたのか、あんたは!!」
フグ「悪かったな、こんな所で!!俺はたった今、魔法使いになった。俺は土の魔法使い・トパーズ大西だ!!」
男達「フグさん、俺達は暇じゃないんだ。さっさとなっちゃんを出してくれ。」
「そうだよ、フグさん。どうみてもフグさんは、おっさんの空手家じゃないか。魔法使いには見えないよ。」
フグ「うるさい!!黙れ!!俺は集会所で、チラシ寿司を食べたいんだ!!さっさと俺を魔女として、集会所に連れて行け!!だいたい魔女狩りなんて、祭みたいなもんだろ?」
男達「まあ、確かに無病息災を願う祭みたいなもんだが。」
「男の魔法使いも魔女として、カウントされるからなあ。」
「しょうがない、フグさんがうるさいから連れて行くか。トパーズ大西として。」
こうしてフグは、魔法使い・トパーズ大西として、街の集会所に連れて行かれることになった。フグは、少年となっちゃんに叫んだ。
フグ「お前ら、ちょっと行って来るから、ちゃんと家の留守番を頼むぞ、火災保険に入ってないから、火に用心しろよ。」
少年「了解。」
なっちゃん「フグさん、タッパーを持って行けば?ご馳走が他にもいっぱい出るよ!!」
フグ「本当か!!ちょっと待ってくれ!!」
フグは台所に向かい、流し台の上にある棚から、白い大きなタッパーを2個取り出して、再び玄関に行き、男達と共に出て行った。