闘え、フグ!!
レイカは、テーブル席でケラケラ笑いながら答えた。
レイカ「そういうことになってるから、よろしく。」
フグ「悪いが、俺は金を持ってないから帰らせてもらう。」
フグが席を立つと、レイカが黒服を呼んだ。
レイカ「お客様、お帰りです。会計お願いします。」
黒服がフグの7番テーブルに来ると、適当に電卓を弾いて言った。
黒服「はい。では、103200円になります。」
フグ「な、なに!!まだ、この店に来て俺は、1秒も座ってないし、何も飲み食いしてないんだぞ!!なんで103200円も払わないといけないんだ!!ふざけるな!!」
黒服「お客様、どうしても払わないと?」
フグ「当たり前だ!!しかも俺は、この街の保安官だ、こんな店、叩き潰してやる!!」
黒服は、店の奥に向かって叫んだ。
黒服「分かりました。おい、二宮!!」
店の奥から、青白く光るサイクロプス・二宮が出て来た。
フグ「お、お前は二宮!!なぜここに!!」
二宮「やあ、フグさん。まさか、こんな所で会うとはなあ。俺はここで夜のバイト、この店のボディーガードをしてるんだ。あんたみたいに金を払わない奴をボコボコにする、夜のバイトをな!!」
フグ「クッコイツの血は猛毒だから、素手では殴れない!!蹴りも使えない!!」
フグは、冷汗をかいた。
レイカ「フフフッフグさん大ピンチね。でもこれは、この店のショーなの。あなたのように強い格闘家と、二宮を闘わせるショーなの。」
フグ「クソッ最初から罠だったのか!!おかしいとは思ってたんだ、こんなバイトのおっさんに、若い女が声をかけて来るなんて。」
レイカ「あら、少しは自分のことを分かってるみたいね。こないだも、柔道家のアラキを二宮がボコボコにしたの。店は大盛り上がりよ!!」
黒服達は、テーブルとソファを端に除けて、フグと二宮が闘えるようにした。そして、フグと二宮の周りを、店の客達が囲んだ。
二宮「さあ、フグさん始めようぜ!!ソリャア!!」
二宮の顔面を狙った右ストレートをフグは、なんとか両手でガードしたが吹っ飛ばされ、ギャラリーの客達の中に飛び込んだ。しかし、客達は、フグを起こして、また二宮の元へ押し戻した。
客達「やれ、二宮!!ボコボコにしてやれ!!」
「頼むぜ、二宮!!俺達は刺激が欲しいんだ!!この空手野郎が、血ダルマになる姿を見せてくれ!!」
フグ「コ、コイツら狂ってやがる!!」
二宮は、パンチの嵐をフグのボディや顔におみまいした。フグは、なんとか両手でガードをして耐えていた。
二宮「そりゃそりゃそりゃそりゃ!!どうした、フグ!!いつも職場では威張りやがって!!なんだこの様は!!」
二宮の前蹴りで、またもやフグはギャラリーの中へ吹っ飛ばされ、そして、押し戻された。
客達「オラッ空手野郎!!ガードばっかりしてないで攻撃しろ!
」
「そうだ、空手野郎!!攻撃こそ最大の防御だ!!闘え、フグ!!」
「闘え、フグ!!闘え、フグ!!」
フグ「コ、コイツら、適当なこと言いやがって!!」
無抵抗のフグに二宮は調子にのって、至近距離からドロップキックを放ち、またまたフグは、客達の中へ吹っ飛ばされて押し戻された。
フグ「この野郎、調子にのりやがって!!しかし、コイツの返り血を1滴でも浴びると死んでしまう!!とうすればいいんだ!!こんなとき、師匠ならどうするだろうか。」
フグは、二宮のパンチやキックをあしらいながら、考えた。
フグ「こんなとき、師匠なら、師匠なら・・・・そうか!!分かったぞ!!俺はなんで、こんなことが分からなかったんだ!!ダサい、ダサすぎるぜ俺は!!」
フグの眼差しが鋭くなった。