出家
フグ「クッ」
フグは拳を握り構えた。
カズノコ「フフフフッ驚いたか、フグよ。私は出家して、ネクロマンサーになったのだ!!」
フグ「な、なに!!占い師は出家すると、ネクロマンサーになると言うのか!!」
カズノコ「そうだ!!さあ、無駄話は終わりだ!!お前達、さっさとこの空手バカを血祭りにしてやりな!!」
少年となっちゃんが、フグを心配して、小屋から出て来た。
少年「フグさん!!」
フグ「お前らは、さっさと家に帰れ!!楽しい時間は、もう終わりだ!!」
しかし、骸骨達はフグに立ち向かって来ず、その場に座り込み始めた。
カズノコ「なにしてるんだ、お前達!!」
骸骨達「カズノコさん、ちょっと休ませてくれ。足が痛くて、動けねえよ。」
「2時間も歩いたからなあ。」
「いきなり出発は無理だろ、準備体操ぐらいさせてくれないと。」
カズノコ「お前達は昔、戦場を駆け抜けた騎士だろ!!しっかりしろ!!」
骸骨達「確かにそうだが、なんせ300年ぐらい前の話だからなあ。」
「そうそう。体を動かしたのも300年ぶりだから、いきなり戦ったりするのは無理だぜ、カズノコさん。」
「300年間ずっと、土の中で寝たきりだったからなあ。こうしてここまで、歩いて来ただけでも、誉めてもらいたいものだぜ。」
カズノコ「こ、この役立たず共が!!ゴホッゴホッグエエエエ!!」
突然、カズノコが草原に膝まづいた。
骸骨1「大丈夫か、カズノコさん!!」
何人かの骸骨達がカズノコの回りに集まり、一人の骸骨が、カズノコを抱き起こした。カズノコの咳が酷いので、骸骨1は、カズノコの額に手をあてた。
骸骨1「カズノコさん、すごい熱だ。この寒く強い風が吹くなか、パーカー1枚で出歩いたから、風邪をひいたんだ!!」
カズノコ「ゴホッゴホッな、なにをしてるんだ、お前達!!さっさとフグをボコボコにしないか!!ゴホッゴホッ。」
骸骨達「今日は帰ろう、カズノコさん。」
「そうだぜ、カズノコさん。風邪を治すのが先だ。」
カズノコ「お、おのれ、フグ!!お前だけは、ゴホッゴホッ絶対許さんからな!!ゴホッゴホッ。今日のこの屈辱、絶対忘れんぞ!!ゴホッゴホッ。」
骸骨達数人は、カズノコを抱えた。
骸骨達「邪魔したな、またな。」
「お前らも風邪をひかないようにな。」
「今日は冷えるからな、そう言えば、インフルエンザが流行ってるらしいぞ。貧乏だからって金をけちらず、ちゃんと予防接種しろよ。」
「出来れば2回な。」
そう言って、懐中電灯を照らす骸骨1を先頭に、骸骨達はカズノコを交代で抱えながら、草原を抜けて、山を登って帰って行った。
フグ「ふう。恐ろしいババアだ。」
少年「女の人って、執念深いんだね。」
フグと少年は、さりげなく、なっちゃんを見た。
なっちゃん「な、なによ!!私は、竹を割ったような性格だって、みんなによく言われるよ!!」
今日も逞しくワイルドに、異世界を生きるフグであった。