うわべの仲間
フグは謹慎を終えて、5日ぶりに出勤した。
昨日、会社からフグのスマホに連絡があり、午前中は事務所に来るように言われたので、事務所に行き、工場長・スライムのプチ説教を喰らった。そして、午後から作業場で仕事をすることになった。
フグが作業場に行くと、タケゾウがフォークリフトに乗っており、その回りを3人のサイクロプス達が囲んで、何やら文句を言っていた。
サイクロプス1「おいおいタケゾウ、何トロトロやってるんだ!!まだ荷物が積めないのか?」
サイクロプス2「そんなに遅いんだったら、俺達が素手で持ち上げた方が、全然速いぜ!!」
サイクロプス3「ったく、お前のフォークリフトを見ていると、イライラする!!みんな、コイツ殴っていいかな?」
サイクロプス1.2「いいとも!!」
サイクロプス3「よっしゃあ!!」
サイクロプス3は、フォークリフトの鍵を回してエンジンを切り、運転席に乗っているタケゾウを引きずり下ろした。そして、タケゾウの顔を殴り、倒れたタケゾウの腹に蹴りを入れた。
さらに、サイクロプス1.2も加わり、3人で倒れているタケゾウの腹に蹴りを入れ続けた。
タケゾウ(うぅ・・・・もう、ここで働くのは無理だ。明日、退職すると工場長に伝えよう・・・・。)
タケゾウは半泣きになり、そんなことを思いながら蹴られ続けていると、
フグ「ドリャアアアア!!セイ!!」
フグが、背後からサイクロプス3にミドルキックを放って蹴り飛ばし、サイクロプス2の腹に正拳突きを入れた。
サイクロプス3は、ふっ飛んでフォークリフトに当たって倒れ、サイクロプス2も、その場にうずくまった。
サイクロプス1「お、お前はフグ!!クビになったんじゃなかったのか!!」
フグ「ちょっとプチ旅行に行ってたんだよ、おせち山までな。」
サイクロプス1「おせち山って、すぐそこじゃないか!!さては謹慎してたな。チッお前がいなくなって、平和な職場になったと思ったのによ!!」
フグ「俺がいない間に、随分と幅を効かせてたみたいだが、楽しい時間はもう終わりだ!!サイクロプスよ、俺はお前に決闘を申し込む!!」
サイクロプス1「お前、バカじゃないのか!!謹慎がとけていきなり決闘を申し込むなんて、普通じゃない!!キレてやがる!!」
フグ「ドリャアアアア!!喰らえ、金的からの~脳天踵落とし!!」
サイクロプス1「ギャアアアア!!」
フグの金的蹴りと踵落としの2コンボで、サイクロプス1は倒れて気を失った。
フグは、倒れているタケゾウの側に近寄った。
フグ「タケゾウ、大丈夫か?」
タケゾウ「すいませんでした!!フグさん、俺、あの女に騙さ・・・・。」
フグは、タケゾウの話を遮った。
フグ「タケゾウ、お前の失恋話は、後でじっくり聞いてやる。とりあえず、今は仕事だ!!フォークリフトは俺に任せて、お前は得意な梱包作業をしろ!!」
タケゾウ「はい!!」
フグ「タケゾウ。今日、俺はしゃぶしゃぶが食べたいなあ。お前は俺を裏切ったんだ!!しゃぶしゃぶでは安いぐらいだが、お前はバイトで貧乏だから、しゃぶしゃぶで許してやろう。」
タケゾウ「な・・・・あ、ありがとうございます。」
ありがとうございますと言ったが、心の中では、コイツ、クズだなとタケゾウは思った。
フグもまた、タケゾウは人をすぐ裏切るクズ野郎だと思っていた。
フグとタケゾウは、今日、親友からうわべの仲間になった。
今日も逞しくワイルドに、異世界を生きるフグであった。