ア・ランアウェイ フグ
カズノコは叫んだ。
カズノコ「この空手野郎が、私の犬を蹴り殺した!!私の愛犬をなぶり殺した!!」
多くの登山客達が振り向き、フグ達と犬を見た。
登山客達「犬が倒れてる、なんて酷いことを。」
「俺は見た!!この空手野郎が、犬を殴りつけているのを。」
「動物虐待だわ、許せない。」
フグ「な、なに!!俺は何もしてない!!この犬が勝手に倒れたんだ!!」
少年「ダメだ、フグさん。とにかく逃げよう。」
フグ「よし、ロープウェイ乗り場まで走るぞ!!」
フグ、少年、なっちゃんの3人は、ロープウェイ乗り場に向かって走り始めた。
登山客達「逃げたぞ!!」
「酷い、犬を蹴り殺して逃げるなんて、それが空手家のすることか!!」
カズノコ「誰か、あの空手家を捕まえて!!あの犬は、私の唯一の家族だったの。」
登山客達「許さん!!よし、みんなであの空手野郎を捕まえようぜ!!」
「おお!!俺も昔、空手をやってたんだ。任せろ、正拳突きでぶちのめしてやる!!」
10数人の登山客の男女達が、フグ達を追いかけ始めた。
登山客達「みんな、あの空手着を着た男を捕まえてくれ!!犬を空手で殴り殺したんだ!!」
「待て!!空手野郎!!それでも武道家か!!犬に謝れ!!」
フグ達がロープウェイ乗り場に近づくに連れて、フグ達を追いかける登山客が増えていった。
なっちゃんが、後ろを振り返りながら、楽しそうに叫んだ。
なっちゃん「フグさん、後ろを見てみて。100人位の人が追いかけて来てるわ。」
フグ「うおっまるで芸能人になった気分だなと言いたいが、捕まったら殺される!!ロープウェイ乗り場まであと少し。全速力で走るぞ!!」
フグ達はロープウェイ乗り場に着き、降りる人達を待っていると、フグ達を追いかけて来た登山客達が、だんだんと迫って来た。
少年「ヤバいヤバい、近づいて来た!!」
フグは思わず叫んだ。
フグ「お前ら、さっさと降りろ!!早く降りろ!!」
フグの叫び声で、急いでロープウェイから人々が降り始めた。そして、フグ達はロープウェイに乗り込んだが、なかなかロープウェイは出発しない。フグ達を追いかけて来た登山客達が、目の前まで迫って来ていた。
フグ「このままでは、ロープウェイに乗り込まれて捕まってしまう。まずいぞ!!早く出発しろ!!」
なっちゃんが、お洒落な杖を振って火の魔法を唱えた。
なっちゃん「ファイアーウォール!!」
ロープウェイの乗車口に、高さ5メートルほどの火の壁ができて、誰もロープウェイに乗れなくなった。
フグ「ナイス!!なっちゃん。」
少年「グッジョブ!!なっちゃん。」
登山客達「あの空手野郎!!放火しやがった!!」
「犬を殺すだけじゃ飽きたらず、放火までするとは。なんて極悪非道な奴なんだ!!」
「俺達を、この火の壁で焼き殺すつもりだ!!こいつは、史上最強の殺人鬼だ!!」
フグを追いかけて来た登山客達が叫ぶなか、ロープウェイの扉が閉まり、街に向かって下降し始めた。
登山客達「あっロープウェイが下って行く!!」
「クソッ逃げられた!!今度会ったら容赦しねえぞ!!」
フグはロープウェイから叫んだ。
フグ「また会おう、アケチ君!!ハハハハハ!!」
登山客達から逃げきった3人は、ロープウェイの中で大笑いをして、街に帰って行った。