フグ、死んだ師匠に会う
カズノコ「お嬢ちゃんの好きだったお母さんの料理は何?」
なっちゃん「チャーハンです。あと、唐揚げとか。」
カズノコは、メモしながら質問を続けた。
カズノコ「お嬢ちゃんの得意な科目は?」
なっちゃん「国語と英語です。」
カズノコ「お父さんの仕事は何?」
なっちゃん「製造業の役員をしてます。」
カズノコは、いろいろ質問して終わると、両手を天に掲げて叫んだ。
カズノコ「なっちゃんのお母さんの魂よ、私の体に乗り移りたまえ~。来た、来た来た来た来た!!」
カズノコは、突然、奇妙な甲高い裏声で話始めた。
カズノコ「なっちゃん、国語と英語だけでなく、他の科目もちゃんと勉強しないとダメよ!!」
フグ「ブフッ」
フグは思わず吹き出してしまった。少年となっちゃんも笑っていた。
カズノコ「なっちゃん、真面目に話を聞きなさい。それから、唐揚げばかり食べてないで、野菜も食べなきゃダメよ。嫌いなトマトも食べなきゃダメよ。」
それからも、カズノコ扮するなっちゃんのお母さんは、幾つかなっちゃんにアドバイスをして、最後に、
カズノコ「じゃあね、なっちゃん。お母さんは、ずっと天国から、あなたとお父さんを見守ってるからね。」
と言って、締めくくった。
カズノコ「はい。じゃあ、次は空手のオッサン。」
フグ「いや、俺はいい。やめておくよ。」
なっちゃんと少年が、笑いながら言った。
なっちゃん「せっかくだから、フグさんもやってもらおうよ。」
少年「俺は見てみたい、フグさんの会いたい人を。」
フグ「お前ら、5000円をドブに捨てるようなもんだぞ!!明らかにインチキだろ、このババアの訳の分からないモノマネに、5000円は無理だ!!」
カズノコ「はいはい。インチキでもなんでもいいから、オッサンの会いたい人は誰?教えてもらわないと出来ないよ。」
フグ「本気で言ってるのか?じゃあ、俺の空手の師匠だ。」
カズノコ「ああ、空手ね。じゃあ、その師匠の好きな食べ物は?」
フグ「納豆だ。」
カズノコ「オッサンの得意な空手の技は?」
フグ「なんか、質問が食べ物とか得意なものとかばかりだな。」
カズノコ「いいから、いいから。オッサンの得意な空手の技は?」
フグ「踵落としだ!!脳天踵落としだ!!」
カズノコは、その後も幾つか質問をして終わると、両手を天に掲げて叫んだ。
カズノコ「フグの師匠の魂よ!!私の体に乗り移りたまえ~。来た、来た来た来た来た!!」
カズノコは、今度は奇妙な低い声で話始めた。
カズノコ「フグよ、ちゃんと毎朝、納豆を食べているのか?」
フグ「ブフッ」
またまたフグは吹き出し、少年となっちゃんは笑い出した。
カズノコ「人の話を真面目に聞け!!フグよ、踵落としの練習ばかりせず、ちゃんと他の技の練習もするんだぞ!!」
それからも、カズノコ扮するフグの師匠は、フグに幾つかアドバイスをし、最後に、
カズノコ「それでは最後にフグよ、お前に空手最強の型を授けよう。しっかり見ておけ、1度しかやらないぞ!!」
そう言うと、カズノコは椅子から立ち上がり、両手を手刀にして、左手を胸に当て、右手を突き出して構えた。