フグ、カズノコに会う
土曜日、フグ、少年、なっちゃんの3人は、バスに乗っておせち山に行くロープウェイ乗り場にやって来た。そして、3人はロープウェイに乗っておせち山の登山口に着いた。
登山口は、お土産物売り場や飲食店があり、多くの人で賑わっていた。その片隅にひっそりと"喫茶カズノコ・占いもできるよ"と、書かれた看板が屋根にある、木造造りのボロい店を見つけた。
少年が、タウン情報を見ながら指差した。
少年「あれだ、あれがカズノコさんの占い屋だ。」
フグ「ボロい店だな。怪しくないか?俺の家と変わらないじゃないか。」
なっちゃんが笑いながら言った。
なっちゃん「フグさんのは家だったの?てっきり、物置小屋かと思ってた。」
フグ「やかましいわ!!ったく、ついこの間まで、空手の神様とか言ってたのに、いつの間にかタメ口かよ!!」
フグ達3人が店の中に入ると、4・5人の人達が軽い食事をしていて、その奥に、占い部屋と入口に書かれた部屋があった。
少年「ここだ、ここに占い師のカズノコさんがいるみたいだ。」
フグ「俺は100%断言できる!!この占いはインチキだ!!なっちゃん、お母さんは300%生き返らないぞ!!」
なっちゃん「かもね・・・・でもせっかくだから、中に入りましょ。」
3人が中に入ると、60代ぐらいの老婆が、机に大きな丸い水晶を置いて、座ってタバコを吸っていた。
カズノコ「なんだい?占って欲しいのかい?」
フグ「いや、アンタは人を生き返らせれるって聞いて来たんだ。だから、この子のお母さんを生き返らせてほしいんだ。」
カズノコ「生き返らせることはできないが、死んだ人に少しの時間だけ、会うことができる。私の体に、会いたい死んだ人の魂を憑依させるんだ。」
突然、バイトの10代ぐらいの女子の店員が入って来た。
バイト「カズノコさん、注文入りました。ハンバーグ定食1つと、日替わり定食1つお願いします。」
カズノコ「あいよ。ちょっとハンバーグ定食と日替わり定食を作って来るから、待ってな。」
カズノコはタバコを吸うのをやめて席を立ち、部屋から出て行った。
3人は、部屋に置いてある椅子に座り、カズノコを待つことにした。
少年「この椅子、学校の椅子と同じだ。」
なっちゃん「本当ね。あの水晶が置いてある机も、学校のと同じね。」
フグ「あのババア、お前らの学校からパクったんじゃないのか?この机と椅子。それにしても少し寒いな、暖房ぐらい入れろよな。」
3人が10分ぐらいそうこう話していると、カズノコが部屋の中に入って来た。
カズノコ「はい、お待たせ。じゃあ、前払いで5000円なんだけどいい?それから、死んだ人に会いたいのはこの子だけ?」
少年「俺はいないかな。まだみんな生きてるし。」
カズノコ「そうよね。君はまだ若いからね。空手着を着たおっさんは、誰かいないの?あんた人生経験豊富そうだから、1人ぐらいいるんじゃないの?」
フグ「いないことはないが、俺は今、134円程しか持っていない。それに、バイトの俺にとって、5000円は高すぎる。」
カズノコ「じゃあ、月々1000円の5回払いでも構わないよ。」
なっちゃん「フグさん、せっかくここまで来たんだから、一緒にお願いしようよ。」
フグ「・・・・じゃあ、思い出作りに試してみるか。月々1000円の5回払いで頼む。」
なっちゃんは、5000円カズノコに払った。
カズノコ「じゃあ、始めるとするかね。まずは、可愛いお嬢ちゃんから。」