フグ、売店に行く
フグは、バイト仲間のタケゾウと、梱包作業をしながら話していた。
タケゾウ「フグさん知ってます?売店に可愛い姉ちゃんが入ったの。」
フグ「俺は売店に行ったことがないんだ。金もないしな。」
タケゾウ「じゃあ、今日昼休みに、一緒にお菓子でも買いに行きませんか?ジュースぐらいなら奢りますよ。」
フグ「本当か?よし。じゃあ、その可愛い姉ちゃんとやらを見に行こう。」
一 昼休み 一
フグとタケゾウは、会社の売店に行きタケゾウは、ポテチとコーヒーを買った。
フグ「タケゾウ、お前が奢ってくれるから、俺はこれを買うことにした。」
フグは、1.5Lのサイダー2本と、コーラ1本の計3本持って、タケゾウの前に現れた。
タケゾウ「フグさん、勘弁して下さいよ!!普通ジュース奢るって言ったら、130円のヤツ1本でしょ。それに、俺もフグさんと同じバイトてすよ。そんなに奢れません。」
フグ「ケチなこと言うな。男なら、これぐらいドンと奢れ!!」
フグは、タケゾウが可愛いと言っていた売店のレジのお姉さんの所に、それらのジュースを持って行くと、巨大な身長3メートルはあろうかと思われるミノタウロスの後藤が、お姉さんを叱っていた。
後藤「君は計算も出来ないのか!!俺が千円出して、368円の買物をしたんだから、お釣りは632円だろ!!なんで132円になるんだ!!」
お姉さん「すいません。3と8を間違えました。本当にすいません。」
後藤「そんな間違いをするわけないだろ!!君は俺からぼったくろうとしたんだ!!そうだろ!!」
お姉さん「いえ、決してそんなことは・・・・。」
フグは、後藤の後ろに並んで叫んだ。
フグ「おいおい、後ろに並んでるんだ!!さっさとどきやがれ、この牛男!!」
後藤「なんだ貴様は!!俺が人事部長だと知って言ってるのか!!」
フグはタケゾウを指差した。
フグ「今言ったのは私じゃありません。コイツです。コイツが言ったんです。」
後藤は、タケゾウに歩み寄って言った。
後藤「お前、いい度胸してるな。どこの所属だ!!」
タケゾウ「ちょ、ちょっとフグさん・・・・勘弁して下さいよ!!」
フグはそっぽを向いて、知らん顔をした。
後藤「言え!!言えないのか!!人間風情が格好つけて、どうせこの娘が可愛いから、庇ってやろうと思ったんだろ。」
タケゾウは俯いて、半泣きになっていた。しかし、"人間風情が"という言葉を聞いて、フグのアドレナリンが分泌されてキレた。
フグ「人間風情だと?人間を馬鹿にしやがって!!おい、牛男!!俺はお前に決闘を申し込む!!」
この世界では、自分がパワハラを受けたと思った瞬間、決闘を申し込むことが認められている。
後藤「はあ?お前は関係ないだろ。」
フグ「いや、関係がある。俺は、この姉ちゃんの彼氏だ!!」
お姉さん「違います!!」
速攻2秒で、お姉さんは答えた。
フグ「たった今、あんたは俺の彼女になった!!今日からあんたは、俺のアモーレだ。」
お姉さん「む、無理です。ごめんなさい。」
フグ「このアマ、もとはと言えば、お前が計算間違えするから、こんなことになったんだろうが!!この程度の計算なら、小学生でもできる!!ったく、引き算間違えるなんて信じられないぜ。あんた、この仕事向いてないんじゃないのか?転職した方がいいんじゃないのか?だいたい・・・・。」
タケゾウ「ちょ、ちょっとフグさん。言い過ぎですよ。」
お姉さん「ヒック、ヒック。」
お姉さんは、フグが執拗に文句を言うので泣き出してしまった。
後藤は、お姉さんに優しい言葉をかけた。
後藤「君、私も少し言いすぎた。ごめんな。そ、そうだ。君はバイトだろ?私が社員に引き上げるようにしておくよ。君はまだ若いから、希望がある。」
お姉さんは、"社員に引き上げる"とう言葉を聞いて泣き止んだ。