フグ・パウダー
契約社員のギガンテス・森山が、作業場で梱包作業をしているフグにイチャモンをつけて来た。
森山「フグさん。うちは制服がないから、服は何でもいいと言えばいいが、さすがに空手着で作業はないだろ。あんたは恥ずかしくないかもしれないが、見ているこっちが恥ずかしい。明日から作業着を着てくるように。」
フグ「別にいいじゃないですか。空手着で作業をしてはいけないという、工場のルールは有りませんよ。」
森山「黙れ!!俺は契約社員だぞ!!バイトは黙って、社員の言うことを聞いていればいいんだ!!明日から、空手着は禁止だ!!分かったな!!」
フグ「・・・・・・・・。」
仕事が終わり、ギガンテス・森山が街の大通りを歩いて帰宅していると、数メートル先に鉄下駄を履いたフグが現れた。
フグ「森山!!俺はお前に決闘を申し込む!!今すぐだ!!俺が勝ったら、空手着を着て仕事をさせてもらうぞ!!」
森山「いいだろう。その代わり、俺が勝ったら、お前は退職しろよ。空手を使うようだが、俺の敵じゃない!!この棍棒でボコボコに叩き殺してやる!!」
この世界では、決闘を申し込むことが認められている。そして、断ることもできるが、身長2メートルある森山は、身長1・8メートルのフグに負ける気がしなかった。しかも、森山は棍棒を持っているのに対して、フグは素手だ。
いつの間にか、フグと森山の周りにギャラリーが出来ていた。
街の人々「人間が魔物に決闘を申し込んでいるぞ!!」
「あいつは冒険者じゃないだろ。一般人じゃないか!!殺されるぞ!!」
「ギガンテス相手に決闘を申し込むなんて、イカれてる。」
フグ「行くぞ!!森山!!キタローキック!!」
フグは、森山に鉄下駄を蹴り飛ばした。
森山「なに!!そう来たか!!」
森山は、2個の鉄下駄を棍棒で叩き落としたが、物凄い速さでフグが突進して来た。そして、フグは胸元から砂の入った袋を取りだし、森山の一つ目に狙って投げた。
フグ「喰らえ!!フグ・パウダー!!」
森山「ギャアアアア!!目に砂が!!」
フグ「ドリャアアアア!!マシンガン金蹴り!!」
フグは、目をつぶった森山の金的に10発蹴りを入れた。さらに、うずくまった森山の腹にボディーブローやローキックを何十発も叩き込んだ。
森山「ギャアアアア!!き・・・・きた・・・ない・・・・ぞ。」
フグ「黙れ!!お前は棍棒を持ってるだろうが!!喰らえ!!必殺・脳天踵落とし!!」
フグは高くジャンプして、森山の脳天に右足の踵落としを食らわし、森山は気絶して倒れた。さらにフグは、倒れた森山の腹に何十発も蹴りを入れ続けた。
街の人々「おいおい、あんた、やりすぎだ!!」
何人かのギャラリーの人達が、蹴りを入れ続けるフグを抑えて、止めに入った。
街の人々「うおおおお!!一般人が魔物に勝った!!しかも、あのギガンテスに!!」
「なんか、きたないような。」
「う~~ん。」
街の人々は、フグの闘い方と、倒れた相手に何十発も蹴りを入れ続けるフグに、首を傾げた。
フグ「黙れ!!要は勝てばいいんだ!!むしろ、俺は無傷だ!!これほど美しい勝利はない!!お前らも、俺を見習って、魔物なんかに怯えず、どんどん決闘を申し込め!!なんなら、俺がお前らに空手を教えてやる!!俺の空手は無敵だ!!」
今日も逞しくワイルドに、異世界を生きるフグであった。