プランB
フグ達は、いったんマクドナルドが近くにあるバス停で降りて、マクドナルドの中に入った。
フグはハンバーガーセット、少年はダブルチーズバーガーセット、なっちゃんはエビフィレオセットをそれぞれ頼んだ。
フグは、少年から千円札を受けとり、それを右足の親指と人差し指に挟んだ。
なっちゃん「フグさん、それは何をしてるんですか?」
フグ「なっちゃん、空手家は何時いかなる時も修行をする生物だ。よく見てな。」
レジの若い女の店員「ハンバーガーセットは、480円になります。」
フグは、レジの若い女の店員の顔スレスレを狙って、踵落としで千円札を、小銭の受け皿の上に置こうとしたが、女の店員の額に踵が当たり、女の店員の左目のツケマツゲがハズレた。
若い女の店員「キャアアアア!!」
少年「フグさん、何やってるんだよ!!普通に手で払えばいいじゃん!!恥ずかしいからやめてよ!!」
フグ「悪い悪い。ちょっと足が滑った。あれだ、猿も木から落ちるってやつだ。」
なっちゃん「よ、よく分からないけど、フグさんて、いつも空手のことを考えてるんですね。」
なっちゃんの心の声(この人・・・・バカだ・・・・。)
なっちゃんも恥ずかしかくて、苦笑いをしていた。
フグの右足の裏にツケマツゲがついていたので、フグはそれを取り、若い女の店員に渡した。
フグ「ほらよ、姉ちゃん。」
店員は少し嫌な顔をしたが、苦笑いをしながら、"ありがとうございます"と言って受け取った。
3人は、食べ終わるとバス停に行き、バスに乗ってドラゴンの棲む湖に向かった。
「次は、のりおのり湖、のりおのり湖。お降りの方はボタンを押して下さい。ぱみゅぱみゅ山方面に行かれる方は、ここで乗り換えとなります。」
少年「フグさん、ここで降りるよ。」
フグ「分かった。それにしても、お前の倒そうとする敵は、いつもバス停の近くにいるな。」
少年「たまたまだよ。」
3人は、バス停から少し歩いて、広い湖・のりおのり湖にやって来た。湖では、数組のカップルがゴムボートを漕いで、デートをしていた。
フグ「おい。ドラゴンが棲んでいるというのに、ゴムボートでデートをしているじゃないか!!あいつら、大丈夫か?」
少年「フグさん、ドラゴンは湖じゃなくて、湖の近くに住んでいるんだ。」
フグ「湖の近く?」
なっちゃんが指差した。
なっちゃん「フグさん、あそこです。」
なっちゃんが指差した所には、フグが住んでいるボロ小屋より、少し大きめのボロ小屋があった。
フグ「俺の家と似てるなあ。最近の魔物は、家に棲むようになったんだなあ。」
フグは、工場長・スライムの見事な豪邸を思い出した。
少年「フグさん、ドラゴンは魔物じゃないよ、人間だよ。」
なっちゃん「そう。ドラゴンはフグさんと同じ空手家なんです。ドラゴンは、夜になると私達の街にやって来て、空手で親父狩りをするんです。」
フグ「な、なに!!そうだったのか。よし、それならプランBで行くぞ!!」
少年「プランBってなんだよ?」
フグ「なっちゃん。火の魔法であの小屋を燃やすんだ!!」
なっちゃん「え?いきなりですか?」
フグ「いいから早く!!」
なっちゃん「分かりました。ファイアー・ブリッジ!!」
なっちゃんの放った火柱が、ドラゴンの住むボロ小屋に向かって走ると同時に、フグもボロ小屋に向かって走り始めた。