表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蹴王(けりおう)と呼ばれた男  作者: 明日こそはシンデレラ
16/54

フグVSドラキュラ王

バスの中は混んでいて、フグと少年はずっと立ったままだった。

バスのアナウンスが流れた。


「次は、ドラキュラビル前!!ドラキュラビル前!!お降りの方は、ボタンを押して下さい。」


少年「フグさん、ここだよ。ボタンを押して。」


フグ「ドラキュラビル前って、名前もろ出しのバス停じゃないか。ちょっと待ってろ。ドリャアアアア!!」


フグは右足を振り上げて、踵落としでボタンを押したが、勢い余って、座っているおばさんの頭にも、踵落としが当たってしまった。


おばさん「あいた!!あんた、なんで足でボタンを押すの!!馬鹿じゃないの!!」


少年「そうだよフグさん。普通に手で押せばいいじゃん。」


フグ「す、すいません。空手の修行も兼ねて、ついつい足でボタンを押してしまいました。」


おばさん「なんでバスの中で、空手の練習をするの?こんな狭い所でそんなことしたら、人に当たるでしょ!!何考えてるの!!」


フグ「だ、黙れババア!!それ以上言ったら、俺の踵落としで頭かち割るぞ!!」


フグの怒鳴り声で、バスの中は静まり返り、おばさんは黙りこんだ。




ドラキュラビル前のバス停でフグと少年は下り、ドラキュラビルに入って、入口のインターホンを押すと、女の声がした。


女「はい。どちら様ですか?」


フグ「俺はこの街の保安官だ。このビルの主人に用があって来た。」


フグがそう言うと、オートロックの扉が開いた。


女「302号室へどうぞ。」


フグと少年は扉を開けて、玄関正面にあるエレベーターに乗って3階で下り、302号室の扉をノックした。さっきの女の声がした。


女「どうぞ、お入り下さい。」


フグはその言葉を聞いて、割り箸を輪ゴムでとめて作った十字架をリュックの中から出した。


フグ「お前も持ってろ。」


少年「なにこれ?こんなのいらないよ。」


フグ「いいから持ってろ。」


フグは、少年に無理やり十字架を渡すと、扉を開けて部屋に飛び込み、さっきの声と思われる、長い金髪の美しい女の額に、十字架を押し当てた。


フグ「ドリャアアアア!!悪霊退散!!」


女「キャアアアア!!ちょっと、いきなり何するの!!」


フグは少年に怒鳴った。


フグ「なにそこでボウッと突っ立ってるんだ!!お前もここに来て、この女の額に十字架を当てろ!!」


少年がどうしようか迷っていると、小柄で色白い痩せた男が、奥の部屋から現れた。


男「何なんですか?あなた達は!!私の妻に何をしてるんですか!!」


フグ「出たな!!ドラキュラ王!!その青白いイカにも麻薬をやってそうな肌と、痩せこけた体。お前こそまさに、ドラキュラに絵を描いたような男だ!!この十字架を喰らえ!!ドリャアアアア!!」


フグは女を押し飛ばして、痩せた男の額に十字架を押し当てた。


男「イタタタタッ痛いって。」


フグ「フフフフッ俺の十字架攻撃が効いてきたようだな。死ね!!ドラキュラ王。魂を天に捧げよ!!」


男「グワアアアア!!私の魂が、消滅する!!って、いい加減にして下さい!!そんなに額に割り箸を押し当てたら、痛いですって!!」


フグは、倒れた男に馬乗りになり、額に十字架を押し当て続けた。


フグ「消滅せよ!!ドラキュラ王!!」


男「イタタタタッ痛い痛い。」


少年がフグの肩を叩いた。


少年「フグさん、フグさん。なんかその人、ドラキュラじゃないみたいだよ。」


フグ「な、なに!!いやいや、そんなことはない。この色白に痩せこけた体。こいつはドラキュラ王だ!!」


男「私はドラキュラなんかじゃない!!普通の人間だ!!」


フグに押し飛ばされた、男の妻が立ち上がり叫んだ。


女「そうよ。私達は人間よ!!ただの普通の人間よ!!」


様子がおかしいことに気づいたフグは、馬乗りになった男からサッと離れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ