勝つための空手
マルコ「この拳も超合金だ。漬物石なんかと比較してもらっては困る。」
そう言ってマルコは、フグの腹に膝蹴りを入れ、右の拳で殴り飛ばした。
フグは、左の頬を殴られて吹っ飛びながらも、空手着の胸元から手榴弾を取り出してピンを抜き、マルコに向かって投げた。
マルコ「ん?」
ドカーン!!
マルコの足元に転がり落ちた手榴弾は爆発をし、マルコの体右半分が吹き飛んだ。サイボーグのマルコは、かろうじて生きていた。
マルコ「うぅ・・・・お、お前がまさか・・・・手榴弾を持っているとは・・・・。手榴弾を使う空手家なんて・・・・初めてだ・・・・。」
フグ「お前がサイボーグだと聞いて、俺は雑貨屋で手榴弾を購入したんだ。この世界では、負けは死を意味する。どんなことをしても勝つ!!それが俺の空手だ!!」
マルコ「お前は空手家じゃない・・・・ただの・・・・キチガイだ・・・・。」
この"お前は空手家じゃない"という言葉に、フグのアドレナリンが分泌され、ヒートアップした。
フグ「黙れ!!今日から俺がこの街の保安官だ!!お前はたった今、ただの鉄屑のロボットになった。」
フグは、マルコの左胸にある星形の保安官バッジを剥ぎ取った。
爆発音にびっくりした人々が、マルコとフグの周りに集まり始め、マルコの無惨な姿を見て絶叫した。
街の人々「ひ、ひでえ・・・・。」
「またフグか・・・・それにしても今回は酷い。」
「保安官にこんなことするなんて、悪魔だ。」
フグは、仰向けに倒れ、首が外れかけているマルコを立たせた。
そして、ギャラリーの若い1人の男に言い放った。
フグ「おい、お前。保安官をしっかり支えて持ってろ!!」
若い男「は、はい。」
フグ「よし、みんな注目。たった今、俺がこの街の保安官になった。今日から俺が、お前達を守ってやる!!俺の強さをよく見ておけ!!マルコ、トドメだ!!必殺・脳天踵落とし!!」
街の人々「おいおい、トドメって。もう十分だろ。」
「なんでお前が、保安官になるんだよ!!」
フグは高く飛んでマルコの脳天に踵落としを喰らわしたが、マルコを支えていた若い男にも当たった。マルコの首は外れて地面に転がり、若い男と共に倒れた。
マルコ「ぐわああああ!!」
若い男「ぎゃああああ!!」
街の人々「おいおい、支えてる人にも当たったぞ!!」
「それにしても、サイボーグをも倒すとは。」
「でも、フグが保安官てのはちょっと。」
「そうだな。ちょっと気に入らないことがあったら、殴られそうだ。」
街の人々がざわつく中、フグは右足を高く上げて勝利のポーズを決めた。そのポーズを見て、一部の人々から歓声が上がり、ここにフグマニアが誕生した。
フグマニアの人々「おお!!素晴らしい!!フグこそ空手の達人、蹴り王だ!!」
「ヒューヒュー!!」
ブスで太った女が叫び、投げキッスをした。
女「フグ!!かっこいい!!愛してる!!」
フグ「調子にのるな、このクソブス女!!鏡を見て出直して来い!!」
フグは空手だけでなく、女にも厳しかった。
今日も逞しくワイルドに、異世界を生きるフグであった。