フグの本気
フグ「わ、分かった。家から財布を取って来よう。だが、お前のローキックが効いていて、俺は立ち上がることができない。すまないが、肩を貸してくれ。」
ホイストはため息をついた。
ホイスト「まったく。お前にはプライドと言うものがないのか。俺なら、這ってでも自分で取りに行く。」
そう言いながらもホイストは、片手を差し出して、フグを立たせた。立ち上がったフグは、ホイストの両腕を両手でがっちり掴んだ。
ホイスト「おいおい、そんなに掴むな。腕が痛い。」
フグは、ホイストにもたれるふりをして、頭突きをかました。
フグ「アキタダン!!」
ホイスト「グワッき、貴様・・・・。」
フグ「もう一丁!!ヤッパリ・ヒデキメタ!!」
フグは、もう1発頭突きをホイストに入れた。
ホイスト「ギャアアアア!!あ、頭が・・・・。」
ホイストは頭を両手でおさえて、立ったままうずくまった。
フグ「俺の頭突きは岩をも砕く。」
ホイスト「卑怯な真似を・・・・。」
フグ「一人でキックボクシングとやらをやってろ。それに、頭突きは空手の技の一つだ!!勝負はこれからだ!!いくぞ、フグ・コンボ!!」
フグは、さっきのお返しとばかりに、ホイストのボディーにパンチや蹴りを何十発もぶちこんだ。
フグ「そりゃそりゃそりゃそりゃ!!俺の電車は停まらないよ!!」
息を吹き替えしたフグの猛ラッシュを、手下のカンガルー達が止めに入った。
手下のカンガルー達「もうやめろ!!それ以上殴ったら、ホイストさんが死んでしまう!!」
「あんたはさっき負けたんだ。それをこんな卑怯な形で・・・・空手家として恥ずかしくないのか!!」
"あんたはさっき負けたんだ"の言葉を聞いて、フグのアドレナリンがさらに分泌された。
フグ「俺は負けてない!!財布を取りに行くと言っただけだ!!」
フグは、手下のカンガルー達の腕を振りほどいて、ボロい小屋の中に走って入った。
手下のカンガルー達「なんだ、あいつは。ホイストさん、大丈夫ですか?」
「ホイストさん。今日の勝負は、明らかに貴方の勝ちです。フグのプライドも傷ついたことですし、今日はいったん帰りましょう。」
ホイストは、手下のカンガルー達に支えられながら立った。
ホイスト「そうだな。しかし、俺も油断をした。俺もまだまだってことだ。」
すると、フグが猟銃を持って小屋から出て来た。
フグ「俺は負けてない!!負けてない!!」
ズキューン!!ズキューン!!
フグは、ホイスト達に向かって2発猟銃をぶっ放し、猟銃を構えて近づいて来た。
フグ「俺は負けてない!!」
ホイスト「ま、待て!!撃つな!!わ、分かった。お前は負けてない!!俺の負けだ。」
フグ「全員、手を頭の後ろに回して、そこに座れ!!」
ホイストと2匹の手下のカンガルー達は、手を頭の後ろに回して正座をした。
フグは猟銃を持ったまま高くジャンプし、ホイストの頭に踵落としをした。
フグ「喰らえ!!必殺・脳天踵落とし!!」
ホイスト「グハッ」
ホイストは座ったまま、前のめりになって倒れた。それを見てフグは、右足を高く上げて、勝利のポーズを決めた。
手下のカンガルー達「ホイストさん、大丈夫ですか?」
「汚いぞ、フグ!!」
フグは猟銃を構えて叫んだ。
フグ「動くな!!脳天に弾丸をぶちこまれたいのか!!これから俺の言うことを輪唱しろ!!ホイストは、空手家・フグの踵落としで倒れた。さあ、早く言え!!」
手下のカンガルー達「ホ、ホイストは、空手家・フグの踵落としで倒れた。」
フグ「そうそう。それでいいんだよ。さあ、行け!!それから俺の飲み代は、タロウっていう金持ちのおっさんに請求するように、ローライダーの店主に言っておけ!!」
手下のカンガルー達は立ち上がり、倒れたホイストを支えながら、ゆっくり歩いて草原を去った。
今日も逞しくワイルドに、異世界を生きるフグであった。