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ポンコツ魔王と鍬を携えし勇者  作者: 相楽龍人
出会いと新たな始まり
7/17

第七話 再会

 俺が根っからの農民だという事が証明された。

これが作戦参加しますって言う前だったら素直に喜んだり笑いとばしたり出来たんだろうが、

魔王討伐作戦に参加します!って宣言した後に得意武器は鍬ですって言われると正直どう反応したらいいのか

分からないぜ。

ほれみろ、国のお偉いさん達また騒ぎ出した。

そうギャーギャー言うなって、鍬持って魔王討伐に向かわないといけないと決まってしまった俺の方が

騒ぎ出したいわ!


「皆のもの静粛に。……ルークス。……フ、フランキー隊長に指導してもらうといい……。

魔王討伐はかなり過酷な戦いになる故、か、体を鍛えて置いて損はないぞ……。」


「国王陛下、私は鍬での戦い方を知らないゆえアークス殿に教えることは出来ません。そもそも鍬で

戦えるとは到底思えません。」


「……じゃろうな。」


ちょっと2人とも酷くない?国王必死に冷静を装ってるけど超声震えてるし、そしてフランキーさんはもうちょっと俺に優しくしてあげて欲しい。唯一の得意武器と言われた「鍬」が武器として成り立たないって言われると流石にへこむよ……

な、なにか考えよう……もしかしたら農具の中で武器として役に立ちそうなものがあるはずだ。

占いの婆ちゃんは「農具の適正が最高値」といったんだ、何かあるはずだ。


「わ、わしはこれから用があるので失礼するよ……」


おい、国王の顔色明らかに占い結果聞く前より遥かにわるくなってるじゃねーか。

国王、その額を流れる汗の意味を教えてれよ……。


 結局、参加表明して国王は喜んだけど俺の武器適正知って「あっ人選間違っちゃったかも」みたいな感じの顔で奥の部屋へ入って行ってしまった。国王との面会も終わったし俺も逃げるように城を後にした。


城を後にした俺はフランキーさんに「少し案内しよう。」と言われ右も左も分からぬ街を案内してもらっていた。いや案内してくれるのはとても嬉しいが今はそれどころではない。 


「……どうしますフランキーさん。」


「正直に話そう。私は鍬を握ったことすらない。ゆえに君に鍬での戦い方を教えることは出来ない……。」


安心してくれフランキーさん。多分この世に鍬で魔物と戦える奴はきっと存在しない。

仕方ない、ここは武器を使わなくても戦えるようフランキーさんに武術を教えてもらおう。


「フランキーさん武術は心得てますか?格闘であれば武器特性とか関係ないでしょうから

とりあえずはなんとかなるでしょう。」


「なるほどその手があったか!では明日から体を鍛え武術を教えていこう!」


「ん、明日からでいいのですか?今日はまだ日が高いですけど……。」


「慣れない長旅で疲れただろう?休むこともまた体を鍛えることだ。そしてここは君の村とは全く違った場所で君が気がついてないだけでかなりストレスになってる可能性もある。今日は街の中を観光するなり

酒場でゆっくり酒でも飲んで英気を養うといい。あ、もし酒場に行くなら私も誘ってくれよな!」


いえ、私は一人で飲みます、とは流石にいえなかった。

悪酔いというほどではないが、ちょっとめんどくさい。


「そういえばフランキーさん俺はどこで寝泊りすればいいのですか?村はお金の概念ほとんどなかったから俺まさに無一文なんですが……。」


「あぁそれなら心配いらない、私の家を好きに使ってくれて構わんよ。……ただし娘に手を出したら斬るがな。」


最後の言葉だけやけに殺意こもり過ぎだろう。というか5歳の子に手を出すほど餓えてませんから!

俺はフランキーさんの言葉に甘え街を観光することにした。


 フランキーさんは一旦自宅に戻って鎧やら剣を置いてくるといい「夜一緒に飲もうな!」

と大声で叫びながら走っていった。

街の人たちが「今日は呑みに行くのやめとこう」と言ってるのを俺は聞き逃さなかった。

有名人かよフランキーさん……。

 街はさすが国内最大都市と言われるだけあって村とは大違いで観光を開始して5分で迷子になった。

まぁどこか行きたい場所があるわけでもないし気ままに歩くか。

右も左も分からないまま街を観光してると見覚えのある顔に出会った。


「ん……もしかしてレインか……?」


「えっとどちらさ……ルークスくん!?」


やはり同じ村に住んでたレインだった。

服装こそ村の時と違えど、この国では珍しい緑色の髪の持ち主である。

レインは20歳の成人の儀が終わると同時に村を出たから5年ぶりの再会かー。

見た目も変わってないしおっとりした性格も変わってないようだ。


「まさかここで会うなんて思っても無かったよ!ルークス君も村を出てこの街にやってきたの?」


「まぁそんなとこかな。すぐに出ると思うけどね。」


きっと言わないほうがいい。村に魔物が出てきて村長が死んでしまったこと、その魔物を討つ為に

この街に出てきたこと。知らないほうが幸せな事だってあるものだ。


「すぐ出るってどこか別のとこに行くの?」


「うん、ちょっとねー。相変わらず両親帰ってこないからちょっくら探しに行くかなーって。」


俺は嘘をついた。流石に久しぶりに会った友人に「俺、魔王倒しに行くんだ!」なんて言ったら

頭がおかしいんじゃないの?と思われてもおかしくない。なので俺は両親が冒険家をしてることを知ってるのをいいことにそれっぽい嘘をついた。

だが、レインの返事は予想していないものだった。


「父親は殺しただろう?今度は母親を殺しに来るのか?」





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