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ポンコツ魔王と鍬を携えし勇者  作者: 相楽龍人
出会いと新たな始まり
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第六話 適正武器 Sランク「鍬」

 俺達は都市に着いてすぐ国王の元へ行き村で起きた出来事を話した。

親父がベリアルというやつに魔物に変えられていてそれを殺したこと、俺が魔王討伐作戦に参加するという事。ただし条件にフランキーさんと必ず行動を共にすること。これは都市に向かってる途中にフランキーさんと決めたことだ。

国王は俺が鍵だとかわけの分からんことを言ってるみたいだが俺が戦場で役に立つわけがない。

選ばれた100人の中で唯一の農民の俺だ、フランキーさんのような屈強な戦士が傍にいてくれないと

あっさり死んでしまうのは火を見るよりも明らかだ。

流石に武器を握ったことがない俺でも一朝一夕で強くなれないことは分かる。

魔王との戦いは長くなるだろうという話をフランキーさんから聞いた俺は、戦いの中でフランキーさんと行動を共にし、その強さを盗もうという魂胆だった。

国王は暫く悩み、隣に立っていた大臣らしき人の耳元で何かを言っていた。

如何せん国王が座っている王座まで20mはあるだろうか、声など聞こえるはずがない。


「ルークス、理由を今は話せないが君がこの作戦に参加しないというのはそれだけで敗北を意味するのじゃ。

フランキー隊長を本隊から外すのはかなりの戦力ダウンだが君を失うよりはマシじゃ。よって君の提案を受け入れよう。」


「ありがとうございます、国王陛下。ひとつお聞きしたいのですがよろしいですか?」


「なんだね?」


「ベリアルとは何者なのでしょうか?魔王なのですか?」


「……ベリアルとは、魔王の元に仕える悪魔の一人よ。魔王と同等の力を持っているという話しじゃ。じゃが過去の文献で得た情報にしか過ぎない故信憑性は薄い。すまない具体的な答えを持ち合わせておらんで。」


「いえ。お話しありがとうございます。」


有用な情報だった。つまり魔王を倒す前にその4人を倒さないといけないってわけか。

長いって聞いてたから1ヶ月ぐらいかと思ったけど余裕で数年かかりそうだ。

まぁそれぐらいあれば自分を守るぐらいは強くなれるだろう……なりたい。


 とりあえず作戦参加の意思とベリアルのことを聞いた俺は早速フランキーさんに稽古をつけてもらおうと思い立ち上がろうとしたとき、急に国王は立ち上がり俺に向かって頭を下げた。


「ルークス、農民だった君に戦えと言わねばならぬことを深くお詫びする。だが国の為、民の為には

君がどうしても必要なのじゃ。国王としてではない、この国に住む一人の国民として君に頭を下げる。」


国のお偉いさん達がわんさかいる前で国王が農民の俺に頭を下げているのだ。それはもう大パニックだ。

 大臣は国王に頭を上げてくれと何度も頭を下げ、周りの奴らは「国王になんてことをさせてるんだ、早く出て行け!」と声を揃えてぶつけてきた。

俺なにもしてないんだけど、というか出来ることなら早くここから出ていきたいんだよ。俺が人生で会った一番偉い人は村長だったのにいきなり国王にランクアップだよ。言葉遣いだってたぶんボロボロだし身なりだって田舎者丸出しでこれじゃ公開処刑だ。


「国王陛下の御前だぞ、失礼な言葉は謹むのだ。それとも国王の行動に異議がある者がおるのか!そのものは堂々と国王の前に立ち話すがいい!」


いきなり大きな声出さないでくれよフランキーさん。隣にいた俺の鼓膜がやぶれちまうよ……

しかしフランキーさんの怒号によりさっきまで野次を飛ばしていた奴らは静かになった。


「ありがとうフランキーさん。これで国王と話しが出来るよ。」


俺は小さな声でお礼を言うとフランキーさんはウィンクをした。フランキーさん、ウィンクって片目を閉じるんだぜ?不器用なのか慣れないことをしたのかどっちかだろうが彼は両目閉じていた。


「国王陛下、頭を上げて下さい。私は自分の意思でここに来ました。国王陛下が頭を下げる必要など何処にもないのです。」


国王はゆっくりと頭を上げる。部屋のライトで照らされた国王の目には涙が溜まっていた。

フランキーさんから国王は慈悲深い人だと聞いてはいたけど農民の俺に対しても涙を流すって

本当に優しい人なんだな。


「……ありがとう。私の出来ることはなんでも協力しよう。それで今日は君の戦いの少しでも役に立てればと思いこの都市に住む占い師を呼んでおいた。これで君にあった武器や戦い方が分かるはずだ。見て行ってもらうといい。」


「ありがとうございます。ではお言葉に甘えてよろしくおねがいします。」


すると野次の中から丸いガラス玉を持った老婆が現れ「前へ」と言われたので老婆の方へ移動した。

すると老婆は何も言わずに直ぐに占いを始めたのだろう、ぶつぶつと何かを呟き始めた。

武器かー。もしかしたら今まで触ったことのある武器は適正が無くて扱えなかっただけで

もしかしたら他の武器なら凄い適正があってすぐに強くなっちゃったりして!

占いの結果にワクワクしていると老婆は突然国王の方を向き問いかけ始める。


「国王陛下、これは見たことがありません……。」


婆ちゃん、じらさないで早く結果を教えてくれよ。見たことないってもしかして本当に

100年に1人とかで現れる鬼才だったとか!これは魔王討伐待ったなしだな!


「……この方、武器適正がすべて最低値なのですが農具だけ最高値でございます。得意武器「鍬」

となっております……。」


流石の国王も驚いたのか開いた口が塞がらない様子だった。

うんうん分かるよその気持ち、せめて一つぐらい適正あってもいいよね。いや農具の適正が最高だけどなんか違うよね。


うん……俺ってやっぱり勇者じゃなくて農民だわ。

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