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ポンコツ魔王と鍬を携えし勇者  作者: 相楽龍人
出会いと新たな始まり
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第14話 解ける誤解と新たな仲間

 レインは目を輝かせながら去っていった。

うん、これはろくでもない噂が広まりそうだ。よりによって一番聞かれたくない奴に聞かれるとはな……

捕まえて事情を説明しようかとも悩んだが、アンナちゃんがいる今、一人にするのは良くないと判断し

俺は色々諦めた。「さぁ、行こうか。」とアンナちゃんに言い俺達は再び歩き出す。


グッバイ、俺のまともな生活。ようこそロリコンな俺……


「ルークスさんどうして泣いてるんですか……?」


「う、うん……?目にゴミが入っただけだよ。気にしないで……」



俺達は昨日世話になった酒場「イーキュアル」に無事辿りついた。

昨日ぶりにマスターのマスターに挨拶をし、俺達は店の角席に腰を下ろした。

マスターはすぐに水とメニュー表を持ってきてくれた。


「はいお水ね。それにしてもルークス君、随分と可愛いレディと一緒だね。デートかい?」


「そんなわけないじゃないですか。フランキーさんにお願いされたんですよ。この子はフランキーさんの娘でレインちゃんです。」


「ルークス君、嘘をつくならもう少しまともな嘘をつくべきだよ。こんな天使のような可愛いお嬢さんが

あのフランキー隊長の娘さんなわけないじゃないか。」


あのパパからは想像できない子であるのは確かだ。だがこれは真実である……。

アンナちゃんはパパをバカにされたと思ったのだろう頬を膨らませて怒っていた。


「パパの悪口は私が許しません!パパは優しくて世界一カッコいいのです!」


俺の言ったことが本当だったと知ったマスターの顔からは笑みが消えており、あたふたとし始めた。

額に汗を滲ませ、どうにかアンナちゃんの機嫌を取り戻そうとあれやこれを考えているんだろう。

マスターはアンナちゃんに色々なジョークを言ってみたものの、5歳児には難しかったので

どれも効果は見られず依然アンナちゃんは怒りっぱなしだ。


「仕方が無い……。今日は御代は要らないよ。好きなものを食べていきなさい……。」


いいのかよマスター……。子供一人の機嫌取る為だけに飯代タダってどんだけ必死なんだよ。まぁさっきから聞かせていたジョークよりはよっぽど分かりやすかったのかアンナちゃんはタダで飯を食えるって

知った途端すげー笑顔でメニュー表を見てるけどな。



結局俺達はマスターのおごりで空腹を満たすことが出来た。俺達はマスターに「ごちそうさまでした」と

挨拶して店を出ると今度は衛兵2人に捕まった。


「君だね?幼い女の子を連れまわしているという不審者は。住民から通報があってね。

小さな子供を食べるんだといいながら酒場に入ったらしいじゃな……アンナちゃんじゃないか!無事かい!?」


「うん?私はルークスさんとご飯を食べてただけですよぉ?パパならお家でアメリアさんと一緒ですよー?」


「うーん、パパに用事は特にないんだけどね。何もされなかったかい?」


おいちょっと待て騎士さん。アンナちゃんは俺の名前を今言っただろうが、俺とこの子が知り合いなのは明白だろ。

このまま着たくも無い罪を着せられるのは勘弁なので俺は事情を説明することにした。すると意外にも騎士はすんなりその話を信じた。


「なるほど……君も大変だったね。その言葉を法螺吹きレインに聞かれるとはね。アンナちゃん本人も

何も無かったと言ってるし、噂が勝手に一人歩きしたということか。」


ここでもそんなあだ名もらってるのかよレイン……。

誤解も無事解け俺達はすぐに解放された。1時間で戻る予定だったが誤解を解くために出会う人ほぼすべてに事情を説明していたため、家に着いたのは3時間後だった。


「おっそーい。一体どこをほっつき歩いてたのよ。」


家に着くとそこには不機嫌100%の顔をしたアメリアがいた。誰も待っててくれと頼んではいないのだが

それをいうと余計に怒らせそうなので俺は納得はいかないが謝ることにした。


「うん……?なんかごめん……。」


「ふん、私を待たせるなんていい度胸してるじゃない!腕を見せなさいはやく!」


「腕?今のとこ違和感も痛みも無いから多分大丈夫だけど……はい。」


どうやらこの腕を見たいらしい。確かアメリアが作ったらしい腕だったな。俺はアメリアの前に立ち

腕を差し出すとアメリアは躊躇なく袖を捲り上げた。違和感がなかったことと腕がついていることに

安堵していた俺は腕そのものを見ていなかった為、露になった自分の腕を見て俺は言葉を失う。


腕はには呪文の類だろうか、見たことの無い文字列が腕を這っていた。それが別の腕を付けた代償なのか

それとも治療に必要なものだったのかは俺には分からなかった。


「腕は問題なさそうね。ただ完璧に出来た模造品だとしても所詮は模造品、一応お婆にもう一度適正見てもらいなさい。あんたどの武器も適正が最低だったって話だけどもしかしたら何か使えるようになってるかもしれないし、唯一の農具すら使えなくなってるかもしれないわよ。」


武器が使えるようになってればそれは嬉しいが、ただでさえ適正が最高でも戦場で役に立つか分からない

”農具”の適正が減ったら俺は一体何を持って戦場に赴けばいいのだろうか……。

だが、何も知らずに戦いに行くより己を知って出来ることを把握するのは大切だ。


「わかった。じゃあアメリアすまないが占い師の婆ちゃんの所に案内してくれないか?

俺一人じゃたどり着ける自信がない。」


「そういうと思ったわ。案内してあげるからついて来なさい。あとね、私はアンタが思ってる歳じゃないから。あんたの10倍は生きてるんだから!敬いなさい!」


「10倍って人間じゃねーなのそりゃ。……じゃあ案内頼むね”お婆ちゃん”。」


「……アメリアって呼びなさい。」


俺は家について早々今度はアメリアに連れられて占い師の婆ちゃんの家に連れて行かれた。

街から少し離れた森の中にどうやら住んでるらしく1時間ほど歩いてようやくたどり着いた。


「お婆ー!見て欲しい人がいるのー!」


「大きい声だすんじゃないよアメリア、どうして目の前にいるのにそんな大きな声で喋るんだい……。


分かったこの子アホの子だ。

婆ちゃんはうんざりしたような顔でこちらを見ると少し驚いたような顔に変わった。


「おやぁ、この前占ったボウヤじゃないかい。何度占っても結果は変わらないよ。」


「えっとねお婆、こいつ一昨日死にかけたの。それと腕も私が作った模造品をくっつけてるから

もしかしたら占い結果変わってるかもと思って連れてきたの。」


「死にかけたって一体なにしたんじゃ……。事情は分かった、では改めて占ってあげるよ。」


婆ちゃんはあの時と変わらず大きなガラス玉に向かってぼそぼそ何かを話し始めた。

一体この玉には何が映ってるんだろうか?何も映ってないようにみえるが婆ちゃんには何かが見えてるの

だろう。どんな風に映ってるのか少し気になるな。


「これは……。アメリアあんたの作った腕……。」


おっとぉ。これはなにやら不穏な空気が流れてますね。もしかして俺は農民としても働けないほど

農具の扱いが下手になってしまったのか……?


「えっとじゃな、君の武器適正は相変わらず最低なのじゃ。そしてそのアメリアが作った腕の魔力が武器の最低適正の素質に反応して、扱えない武器をその手に持つと破壊してしまうなんとも使えない能力がその腕に宿ったようじゃ。農具のほうは……相変わらず最高じゃ。こっちは恐らくもう右に出るものはおらんだろうが戦場では役にたたなんだろう。農具に対しても腕が何か力が働くはずじゃが……すまないそこだけなにやらモヤが掛かっておってよく見えん。」


武器を扱えないだけでなく握ることさえ出来なくなったのか俺は……。

でも農民として農具の扱いがもう右に出るものがいないのは嬉しいぜ。

まぁもう少し時間はあるだろう。フランキーさんやスウェイン、アメリアに協力してもらって

なんとか作戦までに強くなろう。


「アメリア、武器を握ることさえ出来なくなった俺だけど、何はともあれこの助けてくれてありがとう。」


「なっなによ急にッ……国王が鍵だとかなんとかって言うから助けただけよッ!農具しか使えないヘボ

なんて普段助けないんだからね!」


「うんそうだろうけど、アメリアのおかげで今俺はこうして生きてるわけだ、だからありがとう。

戦場に行って俺が役に立つかは甚だ疑問ではあるがこの命、出来ることを全力でやってみるよ。」


「この私が助けたんだからその命無駄にしないでよね!……アンタの腕の経過も見たいし作戦のとき一緒に行ってあげるわ。感謝しなさいよね!」


「ありがとう、アメリアが一緒に行ってくれるのは心強いよ!」


これは嬉しい。フランキーさんと最強の智と呼ばれるアメリアが一緒に行動してくれるとなると

かなり安心できる。俺は”よろしく”と意味を込めてアメリアに握手を求めると

アメリアは顔を真っ赤にし、もじもじとしながらゆっくりと手を出してきた。


「この子は男の人が怖いんじゃよ。それでこの口じゃろ?アメリアに近づく物好きはいなくてな、

いつまで経ってもこの男性恐怖症が治らんのじゃ。」


「お婆余計なこと言わないで!」







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