【第三話中編】不信の村【戦闘】
出口を塞ぎながら追いかけてくる、岩でできた化け物。
それはゆっくりとだが、確実に僕の方へ迫ってくる。
道は一本道の下り坂。
辺りで明滅する鉱石の灯りが、幻想的に輝きだす。
まるで、奥へと誘っているようだ。
立ち向かっても立ち止まっても、あの岩に押しつぶされる気がした。
試しに弓矢で迎撃してみたが、刺さることもなかった。
逆に跳ね返ってきたため、弓をつがえる手から血が滴る。
もはや、選択肢は残されていない、奥へ、ひたすら奥へ。
幸いにも、
余りにゆっくりな速さのおかげで、
息切れして歩いても追いつかれることはなかった。
しかし、どんどん遠のく、入口。
もし行きつく先がただの壁であれば、
覚悟を決めなければいけない。
村で一度も感じたことのない冷や汗が体を巡る。
どれくらい逃げ続けたのだろう。
まるで、地の底と錯覚するくらいの長さだ。
不気味なほどに、明るさは変わらなかった。
遠くで、まだ追いかける音が聞こえてくる…。
ふと、違う光が見えた。
周りの赤紫色と違い、
空のような、水のような薄い青。
もう罠であっても、選択肢はなかった。
ふと、ソールの言葉がよみがえる。
「自分しか頼れないからな。」
こういう意味だったのか。
自分の判断で、自分の身が危険にさらされる。
余りに不思議なことが起こりすぎて、
またソールのような人が手助けしてくれると
勝手に信じてしまっていた。
『自分を信じ』、その青い光に、飛び込む…。




