【第二話中編】地平の先に見える村【戦闘】
…そして、『木の実』がある場所についた。
「こ、これは…。」かごを下した僕は思わず立ちすくむ。
「この木の実を取るんだ。」男はいつもの事と慣れた手つきで指さす。
僕は、『それ』を見上げた。
…大きい、今までに見た木より一回りあるいは二回り大きい、しかも口がある…。
「食われないよう気をつけな。木の実3つで逃げるからな。」男は言う。
「も、もし。襲ってきたら…。」僕は震えながら小声で言う。
「逃げる。俺も勝てる・勝てないはあるんだよ。」実力の見えない男は言う。
男はゆっくりと、木の実を持ち、刃を茎に絡めた。
1つ目、木はゆっくり揺れる。
2つ目、大きく身じろぎする。
切ると実が揺れる。「ソレ」は、1個とる毎に眠りから覚めている気がした…。
3つ目を、切り取る。
刹那、呻き声を発し、そしてクマの咆哮よりけたたましい「音」が辺りを包む。
「あ、やべ。逃げるぞ!」
言うや否やかごに木の実を放り込み、担いで駆け出す男。
「にっげろぉお!」
小さな木が脇から波のように押し寄せる。
僕は彼についていき、彼はかき分けるように木を剣で倒していく。
剣は大ぶりながら、鋭い切れ味と男の技量のおかげなのだろう。
まるで果物ナイフを扱うかのように最小限の剣筋で的確に切り裂いていく。
「早く、こっちだ!」
幾分暗い森であることと、走ることで枝の火が消え、
声に向かって走るしかできなかった。
もうただひたすらに、走った…。
森を抜け、明るい日差しが差し込む。
すぐ後ろまで迫っていた木と、鋭い枝も光を避けるように森へ引き返していく。
「ふ、ふぅ…。」僕は思わず倒れ込む。
恐怖もあったが、気が緩み、朝からの空腹感が波のように押し寄せてきたのだ。




