【第九話中編】絶望の未来【探索】
大ボスに立ち向かうような緊張感にならないまま、
惑わしの山に近づいていくグラディス一行。
丘の上でソールが何か違和感を感じとったようです。
「何だこりゃ、どうなってるんだ…。」
それは異様な光景だった。
遠目に見れば、いつも通りの山だったのに、
今は山肌がえぐられ、隙間なく石の怪物たちがひしめいている。
そう、『禊ぎの丘』で出会ったのが、わんさかいるのだ。
「
入り口どころか近づいただけで多勢に無勢だな…。
というか、岩なんか斬ってたらあっという間に刃こぼれしちまう。
確か『女王様』がいるのは頂上傍の横穴からだったよな?
こんな時、『あの賢者』の居場所が分かれば悩む必要もないんだがなぁ。
」
ソールは軽口を叩きつつ、対策を巡らせてる。
こんな深刻な事態でもどこか楽しんでいるようにも見える。
「どなたか存じませんが、おられない方を噂しても仕方ないですわ。」
セルエは言葉こそ強気だが、微かに声がふるえていた。
「頂上は入り口で、螺旋状に下って行ったから、地底かも…。」
潜った際の状況を思い浮かべようとしたが、
石の化け物に追いかけられたせいかその時の記憶がおぼろげだ。
ソールはふっと短いため息をつく。
「
それはまた随分…天然の要塞って奴だな。
入り口一つ、入れば洞窟で視界不良、戻るも塞がれれば終わり。
作る手間はともかく、構造としては理想的だな。
…でもな?そういうところこそ、抜け道ってあるんだぜ?
」
ソールはセルエに目配せをし、セルエは頷く。
セルエは『赤い』目で辺りを見渡し始める。
「ここには川があったようですわ。『ほんの数年前まで』。」
「おし!そこが隠し通路になってる可能性があるな。」
彼女は過去を見る力がある、それは人間に限った話ではなかった。
「
丁度あの家の真裏のようですわね…。
下流の跡も畑として土慣らししていますから、私でなければわかりませんわね。
…さすがに目が痛くなりましたわ、もういいですわね。
」
僕らは家に行き、裏の山肌にが横穴が開いていることを確認した。
奥の上り坂を進むと不自然にせき止められた盛り土と、
元は支流だったと思われる川がごうごうと音を立て流れ込んでいる。
「これ…『孤独の渓谷』の激流に似ている…?」僕は何とはなしに呟く。
「そりゃそうさ。この最下層が『山賊の隠れ家』なんだからな。」
目の前に立つ人の影。
見間違うはずもない、ラコックスさんだった。
身構える僕たち。
それを見て両手を首の後ろで組み、豪快に笑い始めた。
「
おいおい…3人でいきなりタコ殴りは勘弁してくれ。
それでも勝てる気はするけど、ははっ。
…だけど、お互い無駄な消耗はやめようか。
あたい達『山賊』も、魔女に用があるからね。
」
大分時間が開いてしまいました。
イメージを固めるって相変わらず難しい。
息を吐くようにさらさらと書けるよう精進したいものです。
ここに来て【戦闘】を使わないのは変かもしれませんが、
冒険物だと必ず戦いになるとは限らないということでひとつ。




