【第七話前編】君のいた場所
親を心配する行動が『魔女』への迫害を生んだ…。
その事実にサリアは何を思い過ごしてきたのか、謎は深まるばかり。
そしてラコックスからの親分的特訓は続きます。
夢を見た。
夢の中の少女は目が使えなくなったまま、
声に誘われるままの生活をしていた。
冷静になり、目が見えなくてもそこまで問題ないことが分かってきた。
小さな村だったし、覚えることは少なくて済んだ。
耳をすませば声の主が分かってくる。
そしてなぜかはわからないが、物を軽々と運べる。
泉の水を飲むとそんな盲目でも怪力となる状態になるのだという。
ただ、その状態で頑張りすぎると、
恐ろしく短命になるのだという。
『彼』の奥さんも『この村』の開拓で怪力を発揮した。
そして、開拓が一段落したころ、眠るように亡くなったそうだ。
奇跡の泉だと最初は喜んでいたが、
同じ事が続くため、呪われた泉として村人が近づかないよう見張りを立てた。
そして、違う方向から迷い込んで飲み干したのが私だった。
夢は、ここで終わった。
「おーい、へばってないでそろそろ続けるぞ?」ぼんやりと声がこだまする。
そうだ、今は特訓中だった。
『創造の力』の使い方に慣れるための訓練。
でも、どうやら同じ『力』を持つ人はいないらしい。
だから、危機的状況に追い込んで開花させるのが一番手っ取り早いのだという。
開花した瞬間から、そのイメージを育てていけば伸びしろも見えてくる、らしい。
やらされてるのは確かにきつく、体が重い。
でも、やってることはぼろ道具屋の雑用でしかない気がする。
「
ほらほら、次はあの瓶いっぱいに水を入れて運んできてくれ。
調合用は純粋であればあるほど質が良くなるから、
『禊ぎの丘』の水源のでよろしく!
」
ラコックスさんはビシッと北西の方角に指を突き出した。
その丘は街から遠いわけではなく、
『孤独の渓谷』ほど入り組んだ場所でもなかったけれど、
かなり歩きにくかった。
どうやら、意図的に道を歩きにくくしているみたいだ。
なんでも、禊ぎというのは王族と呼ばれる人から
さらに限られた人を試練と称して修行させることらしい。
丘でどんな試練をするのか、想像もできないけれど…。
旅支度をさせられた時点で日が沈む前に街にはもどれなさそうだ。
だいぶ間が空きました。
おぼろげながら流れはできてるので、ぼちぼち進めたいですね。




