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【第六話中編】君に追いつくために【戦闘】

メリダの指示に従って、依頼品を買いに来たグラディス。

見覚えのある文様の看板に導かれるようにその店に入り呼びかけると、

コウモリのように梁に張り付いた謎の人物が姿を現すのだった!

「ふふふ、淡き竜の爪をご所望かい。それがどんなものか知ってるかい?」


梁から宙づりになっている人がからかうように問いかける。

全身を外套に包み、普通なら顔や足の部分が地面に向かって垂れるはずが、

天地が逆転しているかのような体勢で顔が見えないままのその人は続けた。


「それは、『ある特殊な力を持つ者』を指してるのさ!」


その人は体をかがませ梁に手をつくと、

まるでそこで天地が戻ったかのように、

体をひねらせ、床に足をつけた。


「そう、『淡き竜の爪』と認められるまで、君の任務は成功とならないのさ!」


ようやく理解できた。

メリダさんは僕を試しているのだ。

『創造の力』が一定以上の基準を満たしているのかを。


「…どうすれば『淡き竜の爪』と呼ばれるのでしょうか。」


くくっ、と含み笑いをした外套の人は言った。

「そうさね。あたいの外套を脱がして正体を当ててみなよ?」

いうやいなや、その人の右手が青く光り、触れた袋を幾つか宙に浮かせた。


その袋を試しに押してみると、びくともしない。


どうやら障害物にしているようだ。

まるで家を支えている柱を押しているかのように、全く動かない。

「近づかないと外套に触れることさえできないぞ?ほらどうする?」


正直、看板と口調と声色と見覚えのある『力』のおかげで、名前が分かった。


ただ、ここでそれをそのまま言うとたぶんダメな気がする。

正解ではあるだろうが、目的が達成できない。

おそらく、『力』を使って解決しなければいけないのだろう。


「この店で使えそうなもの…。」周りを見渡す。


『創造の力』…。

山肌では足場を生み出した。

昨夜のメディラスさんの時は草を伸ばした。


おそらく、意識させた物を『成長させる力』と言い換えることができそうだ。


「…なら!」僕は店の中にある『それ』をつかみ、意識を集中させた。

(育て…増えろ…満たせ!)心の中でつぶやきながら、投げつける。

瞬間、それは『爆発的に』増え、外套の人を一気に包んだ。


「…げほ!ごほっごほっ!かはっ!か、換気…!」

外套の人は扉や窓を開けるのに気が逸れ、

そのせいか、浮かせていた袋はぼてっと落ちた。


増やしたのは、埃だった。


ま、まさか埃を吹き付けてくるとは思わなかった。

確かに古い店だけど、掃除はちゃんとしないとか…。

あー少し口に入った、気持ち悪い…。


先ほどまでの力強い言葉と対照的な、蒸せて上ずった声だった。


その人は埃で真っ白になった外套を脱ぎ去り、

外に向かってパタパタと払っていた。

やっぱり、見覚えのあるその人だった。


「これでいいですよね?ラコックスさん。」

埃は身近な物ですが結構有毒です。

興味あっても食べないようにしましょう。


5/10更新

雰囲気的になるべく和製語にしました。

誤植修正しました。

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