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【第五話中編】束の間の再会【戦闘】

空に赤みが増し、夜のとばりが告げる頃、ようやく外に出られた。


「今回は特別だ。次は無視するつもりだから、せいぜい気を付けるんだな。」

ただ意味もなく時間が流れていく感覚に疲れた僕は、頷くだけだった。

やっと自由になり、街に向かって歩き出す。


「暗くなってるけど、どうしようかな…。」


夜に路上にいるのも危ない気がする。

かといって、街の入り口付近しか分からない。

なるべく人目を避けつつ、答えのない物に頭を使い続けた。


「…サリア様に会いたいのか?」暗がりから声が発せられた。


その方向に振り向くと、おじさんくらいの年齢の人が立っていた。

「えぇ、気になるので。でも、あなたは、誰ですか?」僕は答えた。

「…ついてこい。」その問いには答えず、歩いていく。


暗がりのため、すぐついていかないと見失いそうだ。


そこは、入口に比べ、ずいぶん荒れた場所だった。

道であった場所は石が割れ、野放図な草が生い茂る。

月の灯りでは広くは見えなかったが、建物は1つしかない。


「…その剣を、拾え。」シャン、と石と金属がぶつかる音が響く。


ナイフの刃が長くなった物が転がる。

店に置かれていたものに似ていて、刃がつぶれている。

拾い上げると、そのおじさんも刃のつぶれた剣を構え、叫んだ。


「私に一撃でも当てられれば、お前の望む答えを与えよう!」


おじさんは剣を突き出し、僕の攻撃を待つように、動きを止める。

やろうと思えば、このまま逃げ出すこともできそうだ。

しかし教えてくれそうな人がこの人しかいない現状を理解する。


「本当ですね?…行きます!」剣を握りしめ、おじさんに向かった。


それは、もう戦いではなかった。

意外に重い剣を振り回し、軽々避けられる。

狩りは『相手に見つからないこと』が基本だ。


もしおじさんが一振りでも剣を動かせば、僕は負ける。


そう思えてきたが、おじさんはひたすら避け続けた。

振れば避けられ、届かない位置に移動する。

狩りは『時間をかけないこと』が基本だ。


時間が過ぎ、月あかりが照らす場所を広げていく。


長時間、重い物を振り回し続け、ついに僕の体が音を上げた。

膝が折れ、口からはゼイゼイと荒れた呼吸が漏れる。

その光景を見て、おじさんはため息をつく。


「…まさか、剣で防ぐまでもないとは、想像以上だ。」


ここまで来たのに、やっと無事な姿も見れたのに。

村を去ったときには何者なのかが気になっていただけ。

今はなぜ彼女があそこにいたのか、なぜ苦しそうなのかが気になる。


このまま、何も得られず倒れるのか?


無意識に、左手の文様が光り始める。

布で巻かれているため、おじさんにはそれは見えない。

足元の草が、音もなく伸び、おじさんの足を絡めとる。


「…でぇい!」雄たけびと共に戦いの中で最悪の一振りをする。


「諦めないのはいいことだ、…なっ!?」声を荒げる。

後ろに飛ぼうとして、伸びきった草にもつれる。

おじさんは下を覗き込みながら倒れた。


僕は剣を大きく振りかぶり、おじさんに振り下ろす…。


「そこまで!」その声と、剣同士がぶつかり合う音は同時だった。

持っていた剣は弾かれ、シャンシャンと石にぶつかりながら地面に転がる。

手が痺れてしまい、剣を握る恰好だけがその場に残った。


逃げ出すのもコミカルですが、

はいと言うまで選択肢が閉じない流れなので、

ここは割愛します。

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