【第一話前編】繋がった『外』
「追い出すべきです!得体のしれぬ『外』の人は何を考えているかわからない!」
「しかし…おとなしいし、決まりにも従っている。邪険にするにも可哀想だ…。」
「何を言います!この村の初代の言葉をお忘れですか!?
『外』の人は天使の顔で近づき、悪魔の心で陥れる…決して信じてはいかんと!」
「もう数十年前の言葉だ!彼らも変わっているという事もある!」
「何故分かる!『外』に行ったこともないのに!」
「お前も同じだろう!」
誰が言ってるのかも、もはやわからない位に言葉同士が被さっていく集会所。
お互いの言動が徐々に過熱し、早口になり、掴みかかる所までになる。
お互いの温厚派が止めにかかる。
いつもは優しい人たち。
それがこの数日で変わってしまった。
『外』への猜疑心が飛び火し、身内の意見が違うことにお互いがいきり立った。
ふと僕はその話題の中心の少女に会いたくなり、外に出た。
あたたかな陽気が体を包み中の騒ぎが嘘のようだ。
いつもなら周りの森へみんなで狩りをするはずなのに、
今日は誰も気にかけないようだ。
村の端にその家はあった。
前に人は住んでいたが、「旅に出る」という書置きを残して出ていった。
その入れ替わりのように話題の2人が現れたのだ。
少女はかなり衰弱し、その村の空き家に運び込まれた。
意見は2つに分かれた。
『歓迎しよう』派と『追い出そう』派だ。
確か今している会議は3度目、なかなか拮抗してまとまりそうにない。
「まぁ、生まれた頃から知ってる人ばかりだから、しょうがないよね…。」
1人つぶやいて、その家の前に立つ。
扉を軽く数度たたいた。
返事がない。
扉を開けた。
姿が見えない。
…嫌な予感がした。
机の上に書置きがあった。
「ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
皆さんは私の事は忘れ、以前の生活にお戻りください。さようなら。」
…僕はその手紙をつかみ、集会所に向かった。
その知らせを聞いて、
申し訳なさそうな顔の人と、すっとした顔の人とにまた分かれた。
しかし、その直後から、もう誰も彼女達のことを口に出さなくなった。
「狩りに行こう。」
誰かが言った。
それが合図となり、解散となった。
何事もなかったかのように、僕らは昨日と同じ仕事を始めたのだった。
本作品ではシミュレーションゲームでありがちな、
日常パートと戦闘パートで分けます。
日常パートのみでも、ある程度はわかるよう努力します。
戦闘パートもそこまでどぎつい表現は予定していません。
…が、感受性は人によりけりなので、
保険として「残酷な描写あり」を入れさせて頂きます。




