表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/19

13話目




 玄関から聞こえてきた音に蓮さんと天ちゃんが帰ってきたというのが分かると、ほっと一息ついた。


「あ!帰ってきた!!」


 樹里さんは嬉しい!といった空気を全面に出した声を上げて玄関へ向かった。そんな樹里さんを見ながら、桜さんは俺の隣に座った。


「えっと…新谷くん。実は、天音から話、聞いたりしてるんだよねー。」


 桜さんはニコニコと嬉しそうな、楽しそうな笑みを何故か浮かべていた。

 ・・・話、聞いてる?なんの?と頭にはてなを浮かべつつ、桜さんをじっと見つめる。


「蓮と付き合ってる“カイト”って新谷くんでしょ?」


「…えぇ!?あッ……ハイ。」


 まさか、知っているとは思わず、あたふたと左右に視線を揺らしては、少し頷くのを躊躇う。桜さんはそんな俺の様子をニコニコと笑みを浮かべていた。そんな彼女の視線に小さく頷いて見せた。

 

 俺が頷いたのを見ると、桜さんは「そっかぁ。」と更に笑みを深めた。


 そんな桜さんの様子にじっとしていられなくなり、バッと勢いよく立ち上がると、玄関の方から天ちゃんの声と少し高い声…樹里さんの声が聞こえた。それと同時に、先程向けられた樹里さんの排除するような雰囲気と言葉を思い出した。


 もしかしたら、という思いが頭を巡り、「えっと、えっと…。」としか言葉が出ず、ガバッと頭を下げると、玄関へ少し勢いをつけて向かう。


「お!海斗。・・・って、おい!?」


 天ちゃんの声だというのは分かっていたが、恥ずかしい上に、樹里さんのこともあって顔を上げられず、静止の声も聞かずに蓮さんの家を飛び出した。


 その時、蓮さんの表情を横目にチラリと見遣る。


 ・・・少し泣きそうな、でも諦めた様な表情だった。


 しまった、と思ったが、勢いよく出た為、急に止まることも戻ることも出来ず、ドアの閉まる音を後ろに聞いてしまった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ