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1話目

 俺には好きな人・・・恋人がいる。周りの人や友人には大っぴらには言えるような存在ではない。あの人は「別にバレても構わない。何かあれば、職を変えるしな。」と軽く言っているが、俺はそうは思わない。

 そういう俺の恋人は俺の担任だ。いつも思う、担任としてクラスメイトに接しているのを見るとやはり焼餅は妬いてしまうし、遠く感じる時もある。付き合いたての頃はそれに耐えきれないこともあったし、先生にぶつけたりもした。先生はそれを「ごめんな。」とだけ言って、抱き締めてくれていたし、俺もそれに満足していた。

 だけれど、その気持ちがだんだんと薄れていったのは別に先生への好きという気持ちがなくなった訳ではない。余裕が出来てか、先生が先生で居る時をよく観察するようになった為だと思う。

 先生でいる時のあの人はなんとなく落ち着いた様に見えるのだ。多分、俺の事は好きで一緒にいてくれてるのは分かる。でも、時折、不安げに遠くを見ている時がある。それは俺と居るときだけ、だと思う。どうしてか、聞きたいのはや山々だが、中々タイミングを掴めないのが、今の現状である。


「おーい、新谷シンタニ 海斗カイト。お前が相談したいって言うから、残り少ないココアを俺が淹れてやってんのに、意識飛ばすなや。」


 色々と考え込み過ぎていたらしい、目の前には無駄に整った顔の男、俺の恋人、工藤クドウ レンさんの親友である天音アマネ=バルディさんだ。金髪に青い瞳、まさに異国の王子様といった感じだ。・・・まぁ、見た目だけだけど。最後のここは一番重要!

 この理想の王子様、テンちゃんは養護教諭だ。それで現在保健室にて相談中なわけだ。・・・とまぁ、意識を飛ばしていたから、始まってもないけれど。


「ごめんねー、天ちゃん。ありがとー。」


 湯気の立つカップを受け取ってはお礼を言うと、天ちゃんは「それでどうしたんだよ?」といつもの珈琲を飲みながら、所定の位置、デスクにある椅子へと腰を下ろした。


「んー、もうちょいココア味わってからー。」


「・・・蓮が迎えに来てもいいのか?」


 ・・・ちょっと考えまとまってからでもいいじゃんか、と思いながら、「付き合ってやってる俺の身にもなれよ。」と更に一口飲んではこちらを見遣る天ちゃん。

 何だかんだで付き合ってくれる天ちゃんはいい先生だと思うよ。まぁ、蓮さんの次にだけどと考えながら、ココアを更に一口飲んだ。


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